テレワーク手当は、報酬と見なされるのか? 社会保険の「定時決定」「随時改定」の実務を確認する:社労士が解説(2/4 ページ)
社会保険の算定基礎届においては、テレワーク時の交通費や在宅勤務手当の費用が報酬に含まれるのか、在宅勤務手当を支給した際の随時改定はどうなるか悩むことでしょう。それらの実務を確認します。
【2】在宅勤務中に出社した交通費
在宅勤務中における交通費は、「もともとその日、どこで仕事をするはずだったのか」によって、社会保険料の対象とするかどうかが変わります。
・(1)当該労働日における労働契約上の労務の提供地が自宅の場合
そもそも在宅勤務の日と定められていたにもかかわらず、業務命令により企業や取引先に一時的に出社しなければならず、その移動にかかる実費を企業が負担する場合には、実費弁償分として認められ、社会保険料や労働保険料等の算定基礎となる報酬・賃金には含まれません。
・(2)当該労働日における労働契約上の労務の提供地が企業とされている場合
在宅勤務もしているが、その日はもともと企業での出社日に該当しており、自宅から企業に出社するために要した費用を企業が負担する場合には、通勤手当と判断され、社会保険料・労働保険料等の算定基礎となる報酬・賃金に含まれます。
・(3)通信費、光熱費
具体的に、通信費とは、電話料金や携帯電話の基本使用料、インターネット接続料金などを指し、光熱費とは、電気代や水道代のことを指します。
自宅でテレワークをすることによって、1日中部屋の電気をつけたまま、パソコンをコンセントにつなげて仕事をしなければならず、業務の途中、トイレにも何度か行くので、結果として、光熱費が2倍近くになった、という話をよく耳にするようになりました。こうしたケースはどのように判断すればよいでしょうか。
- 1.月額に決まった金額を支給している場合
通信費や光熱費について、一律、決まった金額を手当として支給する場合(例えば通信料として月額5,000円などと就業規則に定めて支給しているケース)には、テレワークをしている分といえども、報酬に含まれることとなり、課税対象にもなります。
- 2.請求明細を確認し、個々の利用実態に合わせて、精算している場合
例えば、個人の携帯電話を業務でも使用している場合において、毎月の電話料金を企業側が確認したうえで、実費分として支給している場合は、報酬・賃金には含まれず、保険料などの算定対象から除外できます。また、課税対象にもなりません。
インターネット接続料についても、自宅と共有しているケースは、その一部を企業負担として、企業が実費を支給することで、社会保険料の対象とせず、非課税扱いとすることが可能になります。電気代などの光熱費についても、同様です。
なお、この費用の具体的な計算方法については、個別に把握できるのであれば、その金額で構いませんが、国税庁からQ&Aが出ており、算式が公表されています(図表1・2)。
この算式に基づいて計算した場合には、従業員に対する給与として課税対象にしなくてよいと定められていますので、実費精算分として、社会保険料の計算からも除外して差し支えありません。
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