預り資産5000億円到達のWealthNavi、次のマイルストーン1兆円の意味とは?(2/4 ページ)
ウェルスナビが運営するロボアドバイザーサービス「WealthNavi」の預かり資産残高が、7月14日に5000億円を超えた。次のマイルストーンは、預かり資産1兆円だ。この1兆円とは、WealthNaviにとってどんな意味を持ち、何が変わるのか。柴山和久CEOに聞いた。
——昨今、投資一任契約を主軸に置かないロボアドサービスがいくつか出てきた。改めてWealthNaviが使う投資一任契約のメリットデメリットをどのように考えているのか。
メリットは、一人一人にとってテーラーメイドの資産運用を提供できることだ。従来は、個人は投資信託がメイン、富裕層や機関投資家は投資一任がメインだった。WealthNaviは、資産額が大きいかどうかにかかわらず、安心して利用できるサービスを目指している。一人一人にとって最適なサービスを提供するには、富裕層や機関投資家向けに提供しているような投資一任契約が最適だ。
投信はみんなでお金を出し合って運用する仕組みだ。一方で投資一任は、顧客ごと個別個別の運用を行っている。投信と違い、ほかの人の動向に左右されない。例えば、投信では、ほかの人が大量に解約したら、自分にも影響が出てしまう。投信では、運用規模が大きくなると、小さな企業に投資できなくなるなど運用方針が変わってしまう。ほかの顧客の動向に左右されない。それが投資一任契約の大きなメリットだ。
2つ目に、一人一人に最適な資産運用が行える。資産運用は、若いときは株式が中心で始まり、どこかでリタイアするときにはリスクを下げる必要があるが、投資一任契約ならば徐々にリスクを下げていくことが可能だ。
投信の場合、自分がリスクを下げる段階に来ても、ほかの人はまだ形成期ということもある。その場合、今まで積み立ててきたものを売って、別のものを買うのかということになってしまう。米国には(年齢に応じてリスクを自動的に下げていく)ターゲットイヤー型投信があるが、日本では長期分散投資が普及しないので、設定されたターゲットイヤー型投信もどんどん早期償還されてしまう。そうした制限を投資一任は受けない。
どういうタイミングで入金したか、積み立てしたかに応じて、リバランスをかけていく。結果として、一人一人が最適な状況になっていくし、パフォーマンスも良くなりやすい。
ユーザーごと個別に運用するのは、将来の発展可能性も大きい。NISA対応についても、NISAと通常口座全体で最適化できるのも投資一任だからだ。WealthNavi以外の資産も含めた最適化ができる可能性があるし、将来の収入の状況に従って最適化できる可能性もある。サービスを進化させる余地が大きい。こうやって、ますます富裕層や機関投資家が行うようなテーラーメイドの運用に近づいていく。
投資一任契約のデメリットは、非常に手間暇がかかることだ。だからこれまで年金基金や富裕層に限定してサービスが提供されてきた。そこを解決するために、テクノロジーを利用しようとしている。
ただしテクノロジーを活用しても規模が大きくならないと、十分にコストが下がっていかない。テクノロジー活用のメリットを十分に享受して一件一件のコストを下げ、ユーザーにその効果を還元するには、規模が重要だ。
そのため、預かり資産1兆円がスタート地点だ。1兆円になると個人向けの大型投信の規模感を超えてくる。1000億円なら投信でやることに合理性があるが、規模が大型投信を超えてくると、手間やコストの点で、テクノロジーの力を最大限発揮できるようになる。
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