預り資産5000億円到達のWealthNavi、次のマイルストーン1兆円の意味とは?(4/4 ページ)
ウェルスナビが運営するロボアドバイザーサービス「WealthNavi」の預かり資産残高が、7月14日に5000億円を超えた。次のマイルストーンは、預かり資産1兆円だ。この1兆円とは、WealthNaviにとってどんな意味を持ち、何が変わるのか。柴山和久CEOに聞いた。
——競合はどこだと考えているのか。
本質的な意味での競合は預貯金だ。これまでの30年、ほとんどまったく預貯金からお金が動いてこなかった。豊かな老後に向けたツールは預貯金だったわけだ。金利がゼロなのに選ばれており、すごい信頼を得ている。
預貯金には元本保証があって、投資や資産運用はやはり元本割れのリスクがある。また実際に資産運用を始めようとしても、手間暇がかかったり難しいと感じたりして、難しい、時間がないと、ついつい後回しになってしまう。大きな心理的なハードルがある。
ユーザーの意識はゆっくりと変わりつつあるが、つみたてNISAの合計も7600億円にすぎない。意識の変化は起きつつあるが、まだ最初の一歩を踏み出した段階だ。長期積み立て分散が広まりつつあるとはいえ、働く世代が保有する金融資産の中のコンマ数パーセントのオーダーだ。
——対面によるサポートとロボアドを組み合わせたハイブリッド型サービスが登場してきている。WealthNaviでも、銀行との提携によりハイブリッド型サービスを増やしてきた。北國銀行を皮切りに、岡三証券、浜松いわた信用金庫、大光銀行、中京銀行とパートナーが増加している。
ハイブリッド型のサービスでは、裏側にロボアドの資産運用エンジンを置くことで、これまでより運用額が少額のユーザーにも対面でサポートできるようになる。
創業以来、オンライン中心のサービス提供をメインの柱にしてきた。ユーザーの中にはオンラインがいいという人がいる一方で、対面のアドバイスを受けたいという人もいる。その中間のユーザーが一番多いのではないか。
サービス提供側としては、対面がいいというユーザーには対面サービスを提供する、オンライン希望者にはオンラインで提供する。選択肢を増やしていくことが重要だ。対面のサポートを一定やることで、より多くの人にサービスを提供でき、運用を続けやすくなるようになるのではないか。
アプリやWebに限定しないという意味では、セミナーを対面でずっとやってきた。最近は10万人を超える人が、オンラインで視聴している。自社の直販で、対面のほうがメインになっていくことは考えていない。対面でのサポートを主軸とするサービスは、パートナーシップによって展開していく。
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