電動キックボードは日本の交通に馴染むのか:高根英幸 「クルマのミライ」(1/4 ページ)
電動キックボードの実証実験が、全国の何カ所かの都市で始まっている。電動キックボード自体は、保安部品を装備して登録しヘルメットを被れば、原付きバイクと同じように最高速度時速30キロで車道の左側を走行することができるものだ。
電動キックボードの実証実験が、全国の何カ所かの都市で始まっている。電動キックボード自体は、保安部品を装備して登録しヘルメットを被れば、原付きバイクと同じように最高速度時速30キロで車道の左側を走行することができるものだ。
しかし実証実験は、このモビリティの利便性を高めるべく、最高速度を15キロに抑えることでヘルメットの装着を任意とし、シェアリングサービスによって提供される。これにはカラクリがあって、原動機付き自転車ではなく小型特殊自動車(フォークリフトや耕うん機などの低速車両)として登録することで、ヘルメット装着義務から法的に解放させるのだ。
これはオートバイの3輪トライクなどと同じ、言わば脱法行為といってもいい。安全だからヘルメットを被らなくていい、のではなく、既存の法律に当てはめるとヘルメットを被る義務はないというだけで、原付き登録の電動キックボードと危険性は何ら変わらないからだ。
電動キックボードは確かに便利なモビリティだ。電動アシストサイクルよりも手軽で、動力源のないキックボードのようにこぎ続けなくて済む。発進時だけバランスを取るまで勢いを付けるために地面を蹴り出してやれば、その後はモーターがグイグイと引っ張っていってくれる。
しかし便利でありさえすればいいのだろうか。既存の道路にこの新しい乗り物が入り込むことで、今でも無秩序な道路交通が、ますます混乱して危険度を高めかねないと思うのは筆者だけではないハズだ。
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