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「インフレ」になると、どうなるのか? 残念ながら:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
米国の景気が回復基調にあることから、このところ「インフレ」という言葉をよく耳にするようになった。もし日本でもインフレが進んだ場合、国民の生活はどうなるのか。筆者の加谷氏が解説したところ……。
米国がインフレになれば日本も無縁ではいられない
私たちが普段、購入している商品の多くは輸入によって成り立っている。日本は過去20年以上にわたって事実上のゼロ成長が続いてきたが、諸外国は順調に経済成長を実現しており、それに伴って物価も継続的に上がってきた。日本が輸入する商品の価格も世界経済の拡大に伴って上昇しているので、企業はそのぶんを国内販売価格に転嫁しなければ利益を出せない。
日本では価格を据え置く代わりに、内容量を減らす、いわゆる「ステルス値上げ」が横行しているが、値上げであることに変わりはなく、こうした現象からも、日本の物価が徐々に上がっていることが分かる。
米国ではワクチン接種が順調に進んでいることから景気が急回復している。あちこちでモノや人材の争奪戦が起こっており、物価が急上昇している。米国の物価上昇は一時的という見方も多いが、一部の専門家は米国政府が巨額の財政出動を行っていることから、来年以降も景気拡大と物価上昇が続くと見ている。
米国は世界経済の中心なので、米国で物価上昇が続くと、全世界の物価もそれに合わせて上昇し、日本の輸入価格もさらに上がると予想される。また米国で物価上昇が続けば、長期金利も上昇する可能性が高い(長期金利は最終的には物価上昇率と密接な関係がある)。米国債の金利がさらに上がった場合、ゼロ金利が続く日本の債券市場にも影響が及んでくるだろう。
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