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ニトリも認める老舗メーカー 新社長が挑む「脱・大ヒット」と「全員野球」の哲学家電メーカー進化論(7/7 ページ)

2009年スタートの「ルルド」は、シリーズ累計の販売台数1100万台を突破するほどの人気ブランド。ルルドを手掛けるのは、もともと折りたたみベッドなどの健康器具メーカーで、1992年創業のアテックスだ。約10年前にスタートした健康家電事業の軌跡と、今後の展望について、社長の深野道宏氏に話を聞いた。

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 顧客とのコミュニケーションをさらに円滑にしながら、ファンを作るための新しい取り組みが、商品を直接体感できるスペースの提供だ。現在アテックスは、東京浜松町と大阪平野区で取引先との商談用のショールームを運営しているが、今年9月以降に、一般公開目的で大阪メトロ堺筋本町駅近くにアテックスの全商品を体感できる8階建てのショールームを開設する予定だという。しかも新ショールームでは、商品の販売は考えておらず、純粋に商品を体験する場所として考えているという。


今秋、オープン予定の新ショールームは、アテックスの全商品を体感できる8階建て。純粋に商品を体験する場所として考えているという。

 「弊社には、体感していただかないと使い心地や効果などが分からない商品が非常に多いので、YouTubeやプロモーションムービーもかなり力を入れています。さらに秋に開設予定の新ショールームは、大阪の堺筋本町駅近くというお客様が足を運びやすいところにあるので、気軽に製品を体感してもらったり、情報を発信したりできます。いろんな仕掛けを考えています」(深野氏)

 ルルドブランドのマッサージクッションが登場してから12年。会社の形も大きく変化している。現在、約100人以上いるスタッフの女性率も高く、開発チームも女性が多くなったという。さらに近年は、積極的に新卒採用を行うことで会社の新陳代謝を促進させているそうだ。

 複数ブランドでの素早いものづくりの実践と、ファンとのコミュニケーションに力を入れているアテックス。コロナ禍後は、日本国内だけでなく中国、東南アジアに向けた展開も視野に入れている。そのために昨年、CI(コーポレート・アイデンティティ)を一新した。

 「社長に就任した時、商品の海外展開を宣言して実行したのですが、あまりうまくいきませんでした。その後、海外戦略について考えていた時に、『マーケティングのコアとなる、企業のコンセプトや理念といったタグラインがないと成功しにくい』と意見をもらいました。今が見直すチャンスだと考え、『HEALTH HEALING HAPPINESS』というタグラインを設定しました。心のケアまで含めたウェルネスカンパニーでありたいと考えています」(深野氏)

 新ショールームの開設とコロナ禍後が、新しいアテックスのスタートだと語る深野氏。それに向けて社員には日々、「マインドセットを変えろ」と鼓舞しているという。新しい挑戦に向けていま準備が進んでいる。


話題が今後の展開に及ぶと、さらなる笑顔で回答してくれた深野氏。会社の飛躍が楽しみで仕方がないと語ってくれた
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