B2Bビジネスの現場に「行動経済学」をどう生かすか:活用法(2/3 ページ)
行動経済学が注目されているとはいえ、B2Bビジネスの現場、セールスの場面においては、どのように活用すればいいのだろうか。
これらを行動経済学のフレーズで見てみると、どうなるのだろう。
優れたビジネスマンは、都度、降りかかった課題のたびに適切な意思決定を行っていると思えるが、案外そうでもなかったりする。むしろ、優秀な人ほど、自分の元の考えを変えたくない、維持したい傾向があるために、その考えに有利な情報ばかり探してしまったり、自分の考えとは違う情報やソリューションは排除したりする「確証バイアス」「一貫性の法則」などによって、なかなか意見を変えることができない。
アスリートゴルファーを自負する人など、これの際たるものだろう。自分の理論の正しさを探すことばかりやっている。(これは仕事ではないか)
「ヒューリスティクス(heuristics:発見的手法)」という言葉があるという。経験則や先入観から、なるべく素早く、効率的に答えを導こうとする思考法ということらしいが、あくまでも過去の経験や記憶に基づいた判断であり、論理的な思考というわけではない。これは、確かにB2CというよりもB2B的な思考かもしれない。とにかく素早い意思決定をしたがる(そのほうができるビジネスマンとされる)。もともと持っている経験則や先入観が、その人のポジションや権限によって、さらにバイアスがかかるわけだから、相当にはびこっている意思決定の手段だろう。
その意思決定のプロセスは、「ハロー効果」によって、さらに、「目立つ特徴」に引きずられ、それだけで評価がポジティブ(ネガティブ)に振れてしまう。「○○出身のあいつが言うのだから間違いない」「さすがMBAホルダーの○○だ」ということだろう。
また、組織においては、売上拡大、利益拡大のために、重要な戦略や活動方針を定めてはいるものの、そこで働く大半の人は、わかってはいるものの、目の前の問題に常に振り回されている。「部長からOKが出ない」「顧客からの理不尽なクレームがくる」といった、すぐに解決しなければならない問題を毎日いくつも抱えながら仕事している。そうしたなかでは、長期目標に向かった合理的活動などほとんど関係ない、目の前の「痛み」をいかに解決するかに翻弄される。しかも忙しい、できる人ほどそうなる。
元来人は、「得をすること」よりも「損をすること」に敏感に反応してしまう「損失回避性」「保有効果」があるという。誰でも目の前に「問題」が勃発すれば回避したいと願う。
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