ニュース
楽天証券決算、つみたてNISA設定件数が前年から2倍に 若年層取り込む(3/3 ページ)
規模ではSBI証券に次ぐ2番手ながら、楽天証券の伸びが加速している。2021年12月期1-6月の決算では、コロナ禍においての成長の加速が数字で表れた。直近4-6月の業績は、売上高にあたる営業収益が21.1%伸びて205億2400万円となった。5大ネット証券と呼ばれる、SBI証券、松井証券、マネックスグループ、auカブコム証券の中では最も伸び率が大きい。
収益の分散化ではSBI証券に遅れる
一方で、収益の分散化状況では、SBI証券が先行する。主に売買手数料からなる委託手数料は1〜6月で30.6%増加し、収益全体に占める比率は36.4%と、前年同期の36%からわずかに増加した。信用取引の貸株料・金利を主とする金融収益や、投資信託・債券からの収入は、それぞれ比率を増したものの、売買手数料の比率が最も大きい。
SBI証券の収益分散化は順調に進む。大きく伸びたトレーディング収益は、FX収益、暗号資産取引収益、外貨建て債券に関わる収益からなっている。特に、外貨建て債券からの収益が大きく伸びた(SBIホールディングス決算資料より)
収益の分散化が重要なのは、米国からの流れで手数料無料化のトレンドが進んでいるからだ。SBI証券は、手数料無料化を宣言しており、徐々に売買手数料の収益に占める比率を下げてきている。依存度を減らし、タイミングを見つつ他社に先駆けて無料化を進める計画だ。
楽天証券もSBI証券に後追いする形で手数料無料化を進めているが、まだ大きい売買手数料収入の比率がネックになりそうだ。
関連記事
- 楽天証券600万口座到達 投信積み立ては450億円に
楽天証券の口座数が5月19日に600万口座を超えた。業界トップのSBI証券は3月末時点の口座数が683万(うちネオモバイル証券が80万)となっており、肉薄してきた。500万から600万口座へは5カ月で到達しており、増加ベースが加速している。 - 多角化進むSBI証券 ネット証券は2強時代に
大手5社と呼ばれるネット証券の中で、SBI証券と楽天証券が他を引き離して2強になってきている。2021年3月期の各社の決算を見ると、SBI証券と楽天証券が、預かり資産残高を大きく伸ばした一方で、マネックス、松井、auカブコムの各ネット証券の伸びは小幅だ。 - 楽天証券、21年1-3月の利益は1.4倍に 口座数は572万超
楽天証券は2021年12月期第1四半期(1-3月)の決算を発表した。売上高にあたる営業収益は、前年から37%増加して236億3400万円に、営業利益は45%増の56億3800万円となった。 - 手数料を無料化して証券会社はどうやって利益を出すのか?
ネット証券を中心に、国内で株式売買手数料の無料化の流れが進んでいる。現在も、SBI証券と楽天証券では1日100万円まで手数料はゼロだが、さらにSBI証券と松井証券では25歳以下の完全無料に踏み切った。しかし、売買手数料を無料化して、いったいどこで利益を出すのだろうか? 利用者の中には、「どこかに落とし穴があるのではないか」と不安視する声もある。 - 今なぜ若者がインデックス投資? 流行の陰につみたてNISAとYouTuber
一昔前までは、株式投資といえば上がりそうな銘柄を探してそれを買うというイメージが強かった。しかし今、若者の間でインデックス投資が流行している。ではなぜ、インデックス投資が盛り上がっているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.