セルフレジ万引きが深刻化、米国では5人に1人が「盗んだことある」──対応策はあるのか?:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(1/3 ページ)
セルフレジの普及が進んでいる。店舗の生産性を向上するのに役立ち、消費者の待ち時間を下げるなど利点が多いが、その一方で「セルフレジ万引き」による商品のロスが増えている。小売店にとって、有効な対応策はあるのか? ウォルマートの事例などを参考に考える。
連載:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線
小売業界に、デジタル・トランスフォーメーションの波が訪れている。本連載では、シリコンバレー在住の石角友愛(パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー)が、米国のリテール業界の最前線の紹介を通し、時代の変化を先読みする。
近年、日本でも見かけることが多くなったセルフレジ。米国では特に浸透しており、9割の米国人がセルフレジを利用したことがあると答えています。
セルフレジにはさまざまな利点があります。小売店舗側からすると、人件費の削減や生産性の向上などにつながります。
消費者側からすると、会計の待ち時間を短縮できたり、コロナ禍では人との物理的接触が最小限に抑えられたりします。特に、米国ではレジ袋に商品をつめる作業は通常店員が行いますが、コロナ禍でその作業を自分で行いたいと考える人も多いようです。
私自身、スーパーで商品を購入するときは、よほどのことがない限りセルフレジを選んでいます。
このように多くの利点があるセルフレジですが、その一方で万引きが増えたり、故意でなくとも顧客が未決済の商品をレジ袋に入れて持って帰ってしまったりすることで商品の「ロス」が生まれていることをご存じでしょうか。
デジタルクーポンを提供するVoucherCodesProの調査によると、米国の買い物客の約5人に1人がセルフレジの小売店で何らかの商品を盗んだことがあると答えています。専門家によると、そのような盗難は過去4年間で倍増しているとのことです。
また、英国で行われた100万件ものセルフレジ取引の調査の結果、セルフレジの売店で発生した損失は在庫の約4%にものぼりました。これは有人レジの場合の1.47%と比べてとても大きな数字です。
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