資産運用にもコロナの悪影響? ウェルスナビ決算好調も7-9月は不透明(2/2 ページ)
資産運用のロボアドバイザーサービス最大手のウェルスナビは8月13日に、2021年12月期4-6月の決算を発表した。継続的な収益を表すARRは、前年同期から88.7%増加し44億4500万円に増加。これに伴い、売上高にあたる営業収益も85.1%増加の10億5700万円となった。
平均積立額は月間4.4万円に増加
預かり資産残高の伸びは、ユーザー数の増加と追加投資額によって決まる。ユーザー数は28.8万人となり、前四半期から1万9000人の増加にとどまった。第1四半期の3万3000人と比べると大幅な鈍化だ。「第1四半期は上場し注目を浴びて、これまでリーチできていなかった潜在顧客にリーチできた。この一時的な効果が第2四半期でははく落した」(柴山氏)
一方で、キャンペーンなどの効果もあり、積立額は好調に増加した。積立設定率は前年同期の68%から1ポイントアップして69%に、平均積立額は3.7万円から4.4万円にアップした。この結果、一人当たりの平均運用額は、20年末の140万円から169万へと増加している。
同社は広告宣伝費を除く営業利益では、20年4-6月に黒字化しており、21年4-6月では3億1700万円まで増加した。広告宣伝費を除く営業利益率も順調に増加しており、30%に達している。
一方で、SaaSモデル的ともいえる同社の事業において、成長のエンジンはやはり広告宣伝費だ。4-6月は3億6700万円を広告宣伝につぎ込んだ。そして、7-9月はさらに広告宣伝に力を入れる。「3Qから広告宣伝費に大きく投下する。コロナの状況が収まり次第、大きくサービスを提供できるよう準備したい。おまかせNISAもプロモーションを強化していく」(柴山氏)
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