テレワークに移行できない企業から人材が流出する理由:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
新型コロナの感染が深刻化していることから、テレワークの重要性がさらに高まっている。テレワークにシフトできた企業は、柔軟で働き方の多様性が認められている可能性が高く、テレワークの可否は社員の定着率にもつながってくる。企業はどう対応すればいいのだろうか。
新型コロナウイルスの感染が深刻化していることから、テレワークの重要性がさらに高まっている。テレワークにシフトできた企業は、柔軟で働き方の多様性が認められている可能性が高く、テレワークの可否は社員の定着率にもつながってくる。企業はテレワークの問題について、もっと真剣に捉えるべきだろう。
テレワークの有無で企業は完全に分断化
三菱地所が都内のオフィスワーカーに対して行った調査によると、何らかの形でテレワークを実施している人の割合は67%となっており、テレワークはかなり定着したと判断できる。オフィス中心のテレワーク(オフィスが5〜9割)は33%、テレワークが中心という形態は26%、完全テレワークは8%なので、オフィスに行きつつ、必要に応じてテレワークを行うのが標準的なスタイルのようだ。
同社は同じような調査を過去にも行っており、2020年の年末段階ではテレワークの比率は64%だったので、大きな違いは生じていない。逆に言えば、20年段階でも現時点でも、約3割の企業はテレワークをまったく実施していないことになる。
コロナ危機終息後はどうなるか、という問いに対しては、引き続きテレワークを実施すると回答した人は70%、オフィスのみと考えている人は30%となっており、現在の比率とほぼ同じである。おそらくだが、今、テレワークを行っている人は、コロナ後もテレワークが継続し、現時点でオフィス100%の人は、今後もオフィスのみの勤務形態が続くと考えている可能性が高い。
この調査はオフィスワーカーに対して行ったものなので、いわゆる現場仕事をしている人は含まれていない。オフィスでの業務は原則としてテレワークへのシフトが可能であることを考えると、テレワークにシフトする企業としない企業は完全に分断されたと見てよいだろう。
今はコロナ危機の最中なので、テレワークの可否は感染リスクの問題として捉えられている。だが、このアンケート結果は、それだけの問題にはとどまらない可能性を示唆している。具体的には企業における人材確保や社員の定着率との関係である。
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