テレワークに移行できない企業から人材が流出する理由:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
新型コロナの感染が深刻化していることから、テレワークの重要性がさらに高まっている。テレワークにシフトできた企業は、柔軟で働き方の多様性が認められている可能性が高く、テレワークの可否は社員の定着率にもつながってくる。企業はどう対応すればいいのだろうか。
定着率にも影響してくる
テレワークが実践できるかどうかは、ITシステムの整備状況など技術的な面にも左右されるが、そのハードルは高くない。現在では技術やコストというよりも、管理職のITスキルや社風など、組織的な部分に大きく依存している。
感染リスクがあり、テレワークを実施したほうがベターという状況でも移行を決断しなかった企業は、何らかの理由で移行したくないものと考えられ、そのような企業は、今後も同じ職場環境を維持するだろう。一方で、コロナ危機をきっかけにテレワークにシフトした企業は、コロナ終息後もテレワークを行い、オフィス勤務とテレワークを使い分けると予想される。
今はコロナ危機という緊急事態なので、多くのビジネスパーソンは現状維持を最優先しているが、コロナ後には従来の働き方を見直す動きが一気に広がってくるはずだ。そうなると、テレワークを含む柔軟な働き方ができる企業とそうでない企業との間には埋めようのない格差が生じる可能性がある。
すでにテレワークを実施しているビジネスパーソンには、顕著な意識の違いが生じている。
マイナビが21年卒の新入社員に対して行った調査では、会社の一員であることを意識している人の割合は、フルリモートが58.9%、フル出社は67.7%とフル出社のほうが高かった。だが、フルリモート勤務者で「3年以内に退職予定」と回答した人は14.7%と全体(28.3%)よりも大幅に低くなっている。
フルリモートの社員は会社への帰属意識はそれほど高くないが、業務に対する取り組みは意欲的であり、定着率も高い可能性が示唆される(つまり意識がジョブ型の雇用形態になっている)。
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