「できない理由ばかり探す人」が、会社で量産されるワケ:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
会社の組織で「できない理由」ばかり語る人がいる。なぜ、彼/彼女らはできない理由ばかり述べるのか。その背景にあるのは……。
ザクやジムのように量産
当初は変わった人がいるなと思ったが、その後もさまざまな組織の危機管理に関わると、「キャラかぶり」する人があまりに多いことに驚いた。問題にメスを入れようとすると、「そんなに簡単な話じゃない」「今は下手に動かないほうがいい」などマニュアル本でもあるのかと思うほど、みな同じセリフを吐き、そしてご多分に漏れずみな事態を悪化させていた。
そこで興味を持った。なぜ日本の組織はこのように「できない理由ばかり探す人」がザクやジムのように量産されていくのだろうか、と。
まず、この手の人物が幅を利かせている組織をつぶさに観察してみると、「何も動かないほうがインセンティブがつく」という特徴があることに気付いた。
要するに、新しいチャレンジや改革をしている人よりも、何もしないでライバルたちの粗探しをしている人のほうが出世しているのだ。これは日本全体の特徴でもある。
世界経済フォーラム(WEF)が20年9月16日に、28カ国を対象に新型コロナ危機からの復興で、より持続可能で衡平な世界へのシフトをどれくらい求めるかを調べたところ、「変化を強く求める」と答えた人の割合が50〜70%という国が多く、先進国でも30%台のところ、日本と韓国だけが19%と16%と断トツに少なかった。
つまり、われわれも「ニューノーマル」「アフターコロナ」などと騒いでいたが、あれはバズワードに過ぎず、本音ベースでは「新しいことなんかやりたかねえよ」「昔に戻りてえなあ」という現状維持バイアスが他国よりも強く働いているのだ。こういう社会の中で、「自分がチャレンジするより、他人のチャレンジを批判するほうが得」という減点主義がまん延するのは当然の結果だ。
さらに、「できない理由ばかり探す人」との遭遇を続けていくうちに分かったのは、「インテリが多いムラ社会」にこの手の人々が多いということだ。具体的に言うと、霞ヶ関の官庁や、就職人気の高く、離職率の低い有名大企業である。
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