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“昭和モデル”を壊して静岡を変えたい わさび漬け大手・田丸屋本店の意思地域経済の底力(4/4 ページ)

日本人の食生活の変化、さらには新型コロナウイルスの感染拡大によって、静岡名物の「わさび漬け」は苦境に立たされている。しかし、今こそが変革の時だと、わさび漬けのトップメーカーである田丸屋本店は前を向く。展望を望月啓行社長に聞いた。

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静岡を変えたい

 もう一つ、望月社長が懸念するのが、地元の人たちの安定志向である。

 「ある意味、静岡は恵まれた地方都市。首都圏と東海圏の間にあって、新幹線や新東名高速道路などの交通インフラが充実しています。自然環境もそろっています。今まではそのアドバンテージが大きかったため、何もしなくてもうまくいった側面はあります」

 時代とともにビジネス環境は激変したが、立地的な優位性はまだ残っているため、危機意識が低い人たちも少なくないという。

 加えて、リスクを取って自らビジネスをやろうとする人が減る一方で、例えば、所有する不動産をチェーン店などに貸して、家賃収入で暮らす人たちが増えているそうだ。これが最終的に地元の商店街をつまらなくしていると望月社長は嘆く。


JR静岡駅前にある本店

 それでも、望月社長は諦めていない。

 「優位性だけではプロフィットは生まれませんが、やる気のあるプレイヤーが出てきたら、これからも静岡が栄える可能性は十分にあります。静岡を変えていける、その一人になれればと思っています」

 力強く宣言した望月社長の言葉に期待したい。

著者プロフィール

伏見学(ふしみ まなぶ)

フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。


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