コロナ禍のブームが追い風 20年度の自転車販売市場は過去最高を更新:2100億円超(2/2 ページ)
帝国データバンクの調査によると、自転車販売市場が20年度に売上過去最高を更新した。コロナ禍による感染リスクの低い移動手段としての人気の高まりや、ウーバーイーツなどの配達員の自転車需要が増えたことが要因のようだ。
自転車の高額化も進む
自転車の高額化も進んでいる。経済産業省の調査によると、20年の完成自転車の出荷数量は、前年を1000台ほど下回る約162万6000台だ。一方で出荷金額ベースでは、前年からおよそ40億円も増加、1台当たりの単価が5年前の3万4000円台に比べ、1万円高い4万7000円台となった。従来の一般的なシティーサイクルに比べ、利便性や趣味性が高い自転車のニーズが急拡大していて、販売台数の多くを高額な自転車が占める。特に電動アシスト自転車は5年前から販売台数が5割伸び、急激な成長が続いている。
こうしたニーズの拡大などにより、大型自転車専門店「サイクルベースあさひ」を展開するあさひの20年度売上高は、前年から16.0%増加の694億円となった。純利益も84.4%増の47億円となり、売上高・純利益いずれも過去最高を更新した。21年度も顧客のライフスタイルに沿った商品展開を進め、売上高では同社初の700億円を目指す。
自転車部品を扱うシマノ(大阪府堺市)も、20年度の自転車部品売上高は前年比2.7%増となった。世界的なサイクルブームで部品の引き合いが好調だったことが要因だ。21年度も前年同期を大きく上回るペースで推移している。
帝国データバンクは、「今後もコロナ禍での外出制限、在宅勤務の普及・拡大による運動不足の解消といったニーズが強く残るとみられる。またアウトドアブームの拡大で、クロスバイクなどの需要が増加する他、販売単価が50万円を超える電動スポーツサイクル(e-bike)の普及も、自転車販売店の経営を支えるだろう」と分析。
その上で、21年度の自転車販売市場について「20年度をさらに上回る2200億円台の到達も想定される」とした。今後の自転車のニーズの高まりが注視される。
関連記事
- 国内78銀行の平均年収は606万6000円 3年ぶりトップに返り咲いた銀行は?
東京商工リサーチは8月11日、国内78の銀行における2021年3月期の平均年間給与が606万6000円だったと発表した。 - ワークマン、見た目や素材にこだわった作業服を展開 新業態「プロ」の“シンボル的製品”
ワークマンは2021年12月、東京都板橋区に職人向けの新業態「WORKMAN Pro(ワークマンプロ)板橋前野本通り店」をオープンする。 - 好きな時間にサウナを独り占め 24時間営業の「個室サウナ」ができた理由
兵庫県にある24時間営業で月額制のプライベートサウナが話題となっている。好きな時間に密を避けた状態でサウナを楽しめる施設が2021年冬に東京と岡山に出店する。 - 発売2年で10万個! 精密部品メーカーがポケモンの「モンスターボール 虫かご」を製造した理由
「ゲットだぜっ!」とつい叫びたくなる虫かごが人気を集めている。精密部品メーカーのキャステムが製造販売する「モンスターボール 虫かご」だ。なぜ、精密部品の会社が虫かごの製造に乗り出したのか、製造元に話を聞いた。 - 最低賃金引き上げが企業にもたらす影響は?
東京商工リサーチは、全国の企業9278社を対象に「最低賃金引き上げに関するアンケート」を実施した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.