なぜデサントはカスタムして“着続けられる”ウェアをつくったのか:3分インタビュー(2/3 ページ)
スポーツブランドの「デサント(DESCENTE)」を展開するデサントが、1着をカスタムして着続けられる新プロジェクト「DESCENTE CONNECT」を発表した。
担当者に聞いてみた
――DESCENTE CONNECTを始めたきっかけは? 普通のダウンジャケットと何が違うのでしょうか。
近藤: きっかけはコロナ禍です。自粛で自由に外に遊びに行けない、昨日まではできていたことが普通ではなくなる状況が続いています。チームとして初めてリモート会議を取り入れた時に、環境に適応する『変化するウェア』が必要なのではないか。といった意見が挙がったのが始まりでした。
コロナ禍で人とのコミュニケーションが取りにくい状況が続く中、スポーツメーカーとして、ウェアの着る以外の価値を提案できないかと検討を重ね誕生したのが「DESCENTE CONNECT」でした。3ユニットで構成したウェアで、お客さまとメーカー、もしくはお客さま同士をつなげることができないかと考えました。
具体的には、ユニットごとに機能性や素材を変え、その日の気候や気分によって変えていくことを想定しています。また、将来的には当社の別のブランドや競合企業さんの商品などと連携してユニットを展開し、1つのウェアを通してつなげることができればと考えています。
――デザインを進めていく中でこだわった点は何でしょうか?
神尾: ユニットをつなげるファスナーを配置する部分にこだわりました。通常のウェアでは存在しない部分にファスナーを配置するため、違和感のない場所であること、また、ユニットに持たせたい機能を損なわない場所に設置するのに苦労しました。
江口: 当社はスポーツウェアブランドとして、体のどの部分に汗をかくのか、どこを温めた方が良いのかといったデータを持っています。例えば、脇の下に“通気性の良いパーツ”を使おうと考えた時に、袖を取り外すファスナーがあると、脇下のパーツを変えることができなくなります。
また、肘部分に伸縮性の良い素材を使いたいと思うと、肘周辺にファスナーを設置することはできません。どの位置なら機能を生かしたユニットを取り入れられるか検討し、ユニットの形を完成させました。
神尾: 1着をユニットに分けることで、必要なものを必要なときに、必要な数だけつくることができます。そしてユニットが必要なくなったと感じる人がいたら別の人に提供し、新たに必要だと思うユニットが生まれる。そのような循環ができると考えています。
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