なぜデサントはカスタムして“着続けられる”ウェアをつくったのか:3分インタビュー(3/3 ページ)
スポーツブランドの「デサント(DESCENTE)」を展開するデサントが、1着をカスタムして着続けられる新プロジェクト「DESCENTE CONNECT」を発表した。
製品の裏側を知り『価値』を感じて
――アパレル業界では、特に環境問題への対策が課題となっています。しかし『着続けられる』となると、買い換える需要も減少するといった矛盾も生まれます。その点をどのように考えていますか
江口: モノを作る会社に勤める者として、アパレルや繊維業界が抱える環境問題や在庫管理に関する問題は頭が痛いところです。メーカーとして販売数を目標にしがちですが、DESCENTE CONNECTでどのようなアプローチができるのか、どう変わっていけるのか、模索している段階です。
今回第1弾として再構築した水沢ダウンは国内工場で職人さんが生産しています。このような『製品の裏側』を知ってもらい、それを『価値』と思ってくださるお客さまに購入していただいています。
DESCENTE CONNECT開発のコンセプトはまさに『ゼロからイチをつくる』です。プロジェクトの背景を理解していただいたお客さまに購入して頂きたいと考えています。50着限定で受注生産としたのも、価格設定の理由やコンセプトをきちんと説明して、お客さまがどう反応するのか知りたいという理由もあります。
――取材日(8月27日)は、受注会初日ですが反響はありましたか? また、今後の展開も検討しているのでしょうか
近藤: プレスリリースを見て来店してただいたお客さまに早速予約していただきました。第2弾としては、防水性やフィット感が特徴のアクティブシェルジャケットを再構築した製品の発売を予定しています。
従来の製品づくりはこれまでの経験をベースにしていますが、DESCENTE CONNECTは設計や考え方を含めて私たちにとっても初めての挑戦です。環境が変わっていく中で、動きをキャッチしながら、それに合った見せ方をじっくり考えていきたいと思います。
アパレル業界を取り巻く環境は世界的に変化しつつある。環境省のまとめによると、国内アパレルの供給量は増加・横ばいとなる一方、衣服一枚あたりの価格は年々安くなり、市場規模は減少している。
“より安く、より多く”といったビジネスモデルからの転換が求められる中、ユニットを通じて“人やメーカーとつながる”デサントの新しい取り組みは受け入れられるだろうか。
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