ファミペイ翌月払い、新制度活用の狙い 公共料金や税金にも対応(2/2 ページ)
ファミリーマートは9月3日、コード決済サービス「FamiPay」の後払いサービス「ファミペイ翌月払い」を9月7日に開始すると発表した。残高がなくても最大10万円まで支払いに使える後払いサービスで、利用額は利用の翌月末に指定した銀行口座から引き落とされる。手数料はかからない。公共料金や税金の支払いにも使えることがFamiPayの特徴であり、翌月払いでもFamiPayボーナスが貯まる。
返済方法の多様化も検討
当初、返済の方法は銀行口座からの引き落としだけだ。FamiPayの強みはファミリーマート店頭でのやりとりができることにある。店頭での現金返済はなぜ取り入れなかったのか。中野氏は、「新しい経産省のライセンス1号ということもあり、アタックされるリスクも考えている。ある程度のデータとオペレーションを蓄積する中で見極めた中で、店頭支払いも視野に入れていきたい」と話す。
翌月払いが基本だが、返済を最大6カ月間遅らせられるスキップ機能も用意する。1万円あたり1カ月のスキップで、約100円の手数料を払えば支払いを遅らせられる仕組みだ(年率換算で12%未満)。ただし、この手数料を収益としては見ていない。
「スキップは金融商品だと捉えていない。通常のチャージ手段の拡張と、支払いをまとめて便利に身近に使ってもらいたいという意図。スキップをせざるを得ない場合もあるだろうという観点で、手数料体系を作った。あくまで、擬似的なクレジットカードであり、この商品をいじって、垂直に展開する概念はない。金利系のサービスは、別のプロダクトで対応していく」(中野氏)
FamiPayは、翌月払いだけでなく、「ファミペイローン」を新生銀行グループと組んで提供する予定だ。ただし、金融を含むさまざまな機能をFamiPayに盛り込む、いわゆるスーパーアプリ化については慎重だ。「現時点でスーパーアプリを一足飛びにいくことは考えていない。いろいろな金融サービスを搭載する可能性は否定しないが、リアルなお客さまのほうを見てアプリの構築をしてく。必要のないサービスはプロダクトアウトしない」(ファミリーマート新規事業開発本部の山中伸哉金融事業部長)
ファミペイ翌月払いについて、利用者数の具体的な目標などは明らかにしなかったが、「ファミペイのアクティブユーザーで、決済利用で銀行チャージを利用している人のうち半分くらいは利用いただきたい」(ファミマデジタルワンの金融マーケティング事業推進本部 辻昭平本部長代行)とした。
コード決済サービスなどでは、改正割賦販売法の新制度を利用したサービスが始まりつつある。メルペイはいわゆるAI与信と呼ばれる「認定包括信用購入あっせん業者」の登録第1号となり、柔軟な与信を可能とした。また、スタートアップ企業のナッジは「少額包括信用購入あっせん業者」の登録を行い、新たなクレジットカードでシンプルな登録プロセスを実現するとしている。
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