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15億円の広告事業から撤退しSaaSに賭けるFringe81の決断(2/4 ページ)

8月11日、Fringe81は10年以上に渡り手掛けてきたネット広告事業から撤退し、「ピアボーナス」を実現するSaaS「Unipos」専業とする公表を行った。併せて、社名も10月1日より「Unipos」となる。祖業を畳(たた)み「感情報酬」という新たな価値を主力サービスとする意思決定の背景とは、そして、今後の勝算をどう見据えているのか。

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Fringe81はSaaS専業としてUniposに

 Fringe81は05年に創業し、インターネット広告事業を主軸に17年にマザーズに上場を果たしている。

 インターネット広告市場の拡大に伴い、同社の業績は右肩上がりに成長。20年3月期の売り上げは22.4億円(収益認識基準適用後)に達した。

 「この10年で多くのネット広告代理店が立ち上がったが、当社の売り上げはその中でもトップ20に入る規模まで順調に拡大をした」と田中氏は振り返っている。

 上場以降も順調に成長を重ねたが、広告代理事業に潮目の変化が訪れる。

 「広告代理事業の競争が“規模の大きさで差がつきやすい環境"となってきた。媒体の仕入れや広告制作に投下できる人員が大規模な代理店に比べ劣勢に立たされた」(田中氏)

 そこに新型コロナウイルスの影響が直撃し、クライアントの広告出稿も大幅に減少した。

 結果、21年3月期には売上高が19.6億円(前年比12.3%減)、親会社に帰属する当期純利益は8.5億円の赤字を計上している。

 その一方で、従業員同士が感謝と少額の報酬を送り合い“ピアボーナス”文化を醸成するSaaSプロダクトUniposの売り上げは順調な伸びを見せていた。

 「もともとインターネット広告とSaaSいう性質の異なる2つの事業において人材の共通性やカルチャー統合に難しさを感じていた部分もあった。勢いのある成長を見せるUniposに必要な投資を行う上でも、広告事業からの撤退は不可避でした」(田中氏)

 田中氏は、国内の初期インターネット業界をけん引した起業家が多い76世代の起業家だ。祖業であるインターネット広告、アドテク事業に対する想い入れも強い。それでも、不退転の決断でSaaS事業に賭ける決断を行った。

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