15億円の広告事業から撤退しSaaSに賭けるFringe81の決断(4/4 ページ)
8月11日、Fringe81は10年以上に渡り手掛けてきたネット広告事業から撤退し、「ピアボーナス」を実現するSaaS「Unipos」専業とする公表を行った。併せて、社名も10月1日より「Unipos」となる。祖業を畳(たた)み「感情報酬」という新たな価値を主力サービスとする意思決定の背景とは、そして、今後の勝算をどう見据えているのか。
SaaS事業としてのUnipos、そして将来像は
田中氏がUniposへの確信を深めている一端には、Uniposの事業成長スピードが年率で50%近い成長を遂げている背景がある。
市場全体としてもリンクアンドモチベーションの「モチベーションクラウド」や、プラス・アルファコンサルティングの「タレントパレット」なども足元で急速な伸びを見せており、従業員に向けたSaaS市場はリモートワーク環境下としても追い風を受ける状況にある。
一方で、現在のUniposのARR(Annual Recurring Revenue)は5億円程度であり、国内上場SaaS企業の規模に満たない。
会計や労務といった既存業務を効率化する性質のSaaSではなく「感謝や称賛の文化を醸成する」といったニーズは、企業により興味・関心の差も大きく、新型コロナウイルス後でも成長スピードを維持できるかは未知数だ。
それでも、田中氏の「感情報酬」にかける想いは強い。
「今回、広告事業から撤退しSaaS専業の決断を行うことは非常に難しいことでした。社員の中にはwebマーケターとしてキャリアを積みたい人もいましたし、広告のお客様からも辞めないでほしいというお声もいただきました。
ただ、私はUniposを人生を賭ける理由があるプロダクトだと思っています。
多くの人が働く企業において、組織全体を巻き込むような取り組みを行うことは容易ではありません。Uniposを通じて生まれる感情報酬は組織のあり方、そして社会のあり方をも変える可能性があると考えています」
世界でも類を見ない「感情報酬」を社会実装するSaaSは、私たちが予想もしない成長を今後遂げるのか。
Fringe81改め、Uniposの第二章はこれから始まろうとしている。
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