「働き続ける」か「療養に専念」か 病のある社員を“両輪”で支援する、日本オラクルの人事制度:社員の病と人事(1/3 ページ)
日本オラクルでは、病のある社員への支援をきめ細かく行っている。どのような制度なのか。
リクルートワークス研究所『Works』
『Works』は「人事が変われば、社会が変わる」を提唱する人事プロフェッショナルのための研究雑誌です。
本記事は『Works』167号(2021年8月発行)「病と不調をインクルージョンする組織とは」より「Case2 安心して“働き続ける”選択と、安心して“働かない”選択の両輪で支援/日本オラクル」を一部編集の上、転載したものです。
全ての社員がインクルーシブに働ける職場環境であることを目指す日本オラクルでは、病のある社員への支援もきめ細かく行っている。
「少子高齢化による定年延長で、高齢で働く社員は今後増えていきます。一般的に60歳を超えると有病率が上がり、これまでよりも真剣に社員の病というものと向き合う必要があります」と、同社人事本部のシニアマネジャー、二見直樹氏は説明する。
「また、コロナ禍によって明らかになったことは、未知の感染症によるパンデミックのリスクが現実的なものとなったことです。病のある社員に対する制度・施策の選択肢を多く持たなければ、企業として社員に対する安全配慮義務を果たせなくなるのみならず、事業継続も難しくなるのではないかと考えています」
では、同社ではどのような施策の選択肢を持っているのか。病の治療と仕事との両立支援制度といえば、“社員が働き続けるために何をするのか”を真っ先に検討する。
「当社の場合は、安心して働けるための制度を充実させるのと同時に、“働かない”選択、つまり安心して社員が休めるようにするためにどのような支援が必要かという点も考慮して制度設計をしています。継続して勤務することと療養に専念して休むこと、この2つは病のある社員のキャリアを閉ざさないための車の両輪のようなものだと考えています」(二見氏)
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