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ジェンダーレス男子、タレント二世も起用NG。中国エンタメ界に吹き荒れる大統制浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(5/6 ページ)

中国の習近平政権が経済に加え教育・エンタメ業界の規制を強め、国内外から「文革の再来」との声が上がっている。特にエンタメ分野では「ジェンダーレス男子の番組への起用禁止」「タレント育成番組の禁止」など、コンテンツや出演者の裁量を大きく制限しており、中国市場を狙う日本企業やタレントも戦略見直しを迫られそうだ。

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フォロワー5000万人アイドルが性的暴行で逮捕

 当局がキャンペーンを展開していた2カ月の間に、芸能界では不祥事が噴出した。

 特に衝撃が大きかったのは、韓国男性アイドルグループEXOの旧メンバーで中国系カナダ人の人気スター、クリス・ウー(中国名・呉亦凡)が8月中旬にファンへの性的暴行容疑で逮捕されたことだ。

 7月に女子大生がSNSで被害を訴え、他に未成年を含む8人以上の被害者がいると告発。クリスは潔白を主張し、女性に法的措置を取ると強気だったが、警察の捜査を受け逮捕された。

 クリスはSNSウェイボ(微博)で5000万人以上のフォロワーを抱え、ルイ・ヴィトンやブルガリなど世界の一流ブランドと契約していた。過去には木村拓哉の次女のKokiもクリスのミュージックビデオに出演していた。

 クリスの逮捕後には、有名MCが女性からSNSで性的暴行の告発を受けるなど、余波が続いている。

 そして8月下旬、女優ジェン・シュアン(鄭爽)が脱税などで合計約30億円の罰金を命じられた。中国では2018年にも女優のファン・ビンビン(范冰冰)が巨額脱税で摘発され、罰金150億円を支払った。

 2人はいずれも出演料を「二重契約」することで収入を過小申告していた。シュアンの脱税は今年4月、元交際相手から詳細な証拠とともにSNSで暴露された。ファン・ビンビンへの見せしめ的な処罰が全く抑止力になっておらず、当局はメンツを潰された。

 ちなみにシュアンの元カレも脱税を支援したとして処罰され、元カレは8月下旬、シュアンは9月7日にウェイボアカウントが閲覧できなくなった。


女優ジェン・シュアン(左)と元カレ(右)の現在のウェイボアカウント。いずれも「このアカウントは法律違反などの理由で、閲覧できません」と中国語で書かれている状態

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