M&Aの失敗に学べ! 今こそ経営人材の育成に舵を切るタイミング:日本企業に必要なことは(1/5 ページ)
かつて一大イベントだった日本企業のM&A。今では恒常的に行われるようになってきたが失敗も目立つ。20年近くM&Aのアドバイザーとして活躍してきた筆者は、「経営人材の育成」を重視する必要があると考えている。
いきなりプライベートな話から入って恐縮だが、私が社会人になったのは1990年(平成2年)のことだ。会社勤めをするようになって既に30年以上が経過したが、平成というひと時代を企業人として生きてきたことになる。そして、そのうちの20年は、M&Aのアドバイザーとして過ごしてきた。
毎日10件を超すM&Aが発生
平成の30年間にさまざまなことがあったが、M&Aに関しては、成長を実現するための当たり前の経営手法として定着した時代といえる。M&Aは、社運を賭けた、そして社史を飾るような大プロジェクトであり、もちろんそれは今でも変わりはない。しかし、総合商社やソフトバンク、日本電産などM&Aを多用する企業にとって、それは毎月発生する恒常的なイベントにもなっている。
日本企業が関係するM&Aの増加トレンドは次のグラフでも確認できる。これはM&Aアドバイザリー会社のレコフが作成したものだ。バブル崩壊による不況が顕在化した1991〜93年頃や、リーマンショック後の2009〜12年頃は件数が減少した。しかし、この30年間は右肩上がりで増加してきた。足元では年間4000件弱まで増えており、1日平均で10件超のM&Aが発生していることになる。
グラフ1を見ればお分かりのように、国内案件(日本企業同士のM&A)の伸びが大きい。この伸びを後押ししているのは、実は中小・零細企業によるM&Aだ。
「5年、30万、70歳、60%」という数字があるのだが、これの意味するところをお分かりの方はいるだろうか。出所は中小企業庁だ。
同庁が17年に行った調査によれば、今後5年間で30万社以上の中小企業における経営者が70歳になるにもかかわらず、そのうちの60%の企業で後継者が見つかっていない状態だ。後継者がいないがため、身売りを余儀なくされる企業は今後増えるであろうとその資料は予測しているのだが、果たして18年以降、国内M&A件数は大きく伸びているのである。
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