BNPLなぜ伸びる? 日本市場特有の理由とは(2/3 ページ)
世界的に大きな潮流となっているのがBNPLだ。これは、「Buy Now Pay Later」の略で、いわゆる「後払い」サービスのことを指す。BNPLはクレジットカードに代わる決済方法として、世界各国で急速に伸びているが、それはなぜか。国内BNPL市場で40%程度のシェアを持つトップ企業ネットプロテクションズによると、実は国ごとに理由は異なるようだ。
「不安感」からBNPLが伸びる国内
では、ほぼ全員が銀行口座を持っている日本でBNPLが伸びているのはなぜか。日本人のクレジットカード保有率も87%に達しており、クレカを持っていないからBNPLを使うわけではない。にもかかわらず、国内のBNPLサービスは年平均20%超の成長率となっており、矢野経済研究所の予測では2021年度は市場規模が1兆円を超えるとされている。
この理由を長谷川氏は、「クレカを使わない理由の最大が不明瞭さだ」と話す。利用額が分かりにくく使いすぎが心配、金利が怖い、気づかないうちに購入が増えるのが心配……。利用者にアンケートを採ると、クレジットカードへの不安として、こんな声が挙がる。特に、不安感があるのが分割払いやリボ払いだ。実際に、米国ではクレジットカード利用者の54%がリボ払いを使っているのに対し、国内では2カ月を超える分割払いは7.8%に過ぎない。
こうした不安感から、クレジットカードを持っていても使わずにBNPLを利用しているのではないかというのが見立てだ。同社の調査によると、ECサイトで購入するときに、「クレジットカードがあるのに利用しなかったことがある」という人は75%にものぼる。
さらにコロナ禍も影響している。コロナ禍でECの利用が急速に伸びたが、初めてECを使う人はクレジットカードを避ける傾向にあるからだ。
「クレジットカードが持つ、便利な一方で何が起きるのか分からないという不明瞭さに、ユーザーは不安や懸念を感じている。事業者から見たときも、ユーザーニーズをくみ取って適切な決済方法を提供することが重要だ」(長谷川氏)
関連記事
- AI与信解禁 メルペイに聞く「何が変わるのか?」
4月に改正割賦販売法が施行され、AIやビッグデータを使った与信審査が解禁された。メルカリ子会社で決済サービスを営むメルペイは、これに対応を「AI与信」を提供する計画だ。しかし、もともとメルペイはメルカリの売買履歴データやメルペイでの決済データを用いて、与信を行っていたはず。法改正で何が変わるのだろうか? - 後払いサービスペイディを、米ペイパルが買収 3000億円
後払いサービスサービスを運営するペイディ(東京都港区)を、米決済大手のペイパルが買収した。買収金額は3000億円。ペイパルは「世界第3位のEコマース市場である日本での越境EC事業に加えて、今回の買収により、国内決済市場で機能やサービスを拡充することで存在感をさらに高める」としている。買収は2021年末までに完了する予定だ。 - ファミペイ翌月払い、新制度活用の狙い 公共料金や税金にも対応
ファミリーマートは9月3日、コード決済サービス「FamiPay」の後払いサービス「ファミペイ翌月払い」を9月7日に開始すると発表した。残高がなくても最大10万円まで支払いに使える後払いサービスで、利用額は利用の翌月末に指定した銀行口座から引き落とされる。手数料はかからない。公共料金や税金の支払いにも使えることがFamiPayの特徴であり、翌月払いでもFamiPayボーナスが貯まる。 - クレカ登録不要の後払いが増加 スマホ決済の全体像が分かる「カオスマップ」が公開
ネットプロテクションズは、国内のスマホ決済カオスマップの2019年版を公開した。注目は、クレジットカード不要の後払い決済だ。メルペイの「あと払い」やZOZOグループのアラタナがコイニーと5月に始めた「ツケ払い powered by Coiney」などが登場。 - ヤフー、後払い開始 Yahoo!ショッピング、PayPayモールで
ヤフーが運営するeコマース「Yahoo!ショッピング」「PayPayモール」において、後払い決済「ゆっくり払い」の提供が開始。8月からはアスクルがヤフーの協力により運営する「LOHACO by ASKUL」においても提供する予定。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.