コンビニ弁当の価格が“三極化” セブンは「270円」を投入、ミニストップは「599円」が好調:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
500円前後がボリュームゾーンだったコンビニ弁当の価格帯が広がっている。大手は200円台や300円台のミニ弁当を相次いで発売。一方、ミニストップは599円という高額の弁当が売れている。
ローソンの「ちょい」シリーズ
ローソンでは、今年5月25日に、「小容量の商品を取りそろえてほしい」という顧客の声を受けて開発した「Choi(ちょい)」シリーズとして、チルド弁当「Choi チャーシュー丼」と「Choi チーズがとろけるキーマカレー」を発売。ミニサイズ弁当へと本格的に参入した。価格は399円。
同社では20年11月から、巣ごもりの影響により自宅で気軽に食べられる商品のニーズが高まっているため、小容量タイプのちょいシリーズとして、有名店とコラボしたラーメンなど麺類を提案してきた。ちょいシリーズは昼と夕・夜間に、揚げ物、サラダ、デザートと一緒に買われるケースが多い。購入者の7割が女性で、30〜40代を中心に販売好調。
そこで、小容量のチルド弁当にラインアップを広げた。ご飯の総重量を従来品の7〜8割に抑え、サラダなど複数の商品と組み合わせた購入を想定した。容器は紙製で、従来容器より約21トンのプラスチック削減が見込める。
9月21日に商品がリニューアルされて、現在はぷちぷちした食感のもち麦ご飯入り「とろとろ玉子の天津飯」と「バターチキンカレー」が販売されている。いずれも内容的にこだわりを持った商品だ。
天津飯は、とろとろの玉子の上に生姜をきかせた鶏ガラベースの中華あんを掛け、カニカマをトッピング。バターチキンカレーは、カシューナッツや生クリームの風味を楽しめるようにしている。味わいがマイルドなカレーで、ごろっとしたチキンやチーズがトッピングされている。
同日には渋谷で人気のスパゲティ専門店「東京たらこスパゲティ」監修の「ちょい麺」シリーズ「お出汁のたらこパスタ」が新提案され、出足好調だ。加えて「あさりの貝だしらーめん」など4種が新しく発売されている。
一方、500円以上の価格帯では、今年3月23日に投入したチルド弁当の「これが弁当」シリーズが発売から2週間で累計販売数200万食を突破。ヒットしている。この商品群がけん引してローソンの弁当販売全体も前年より約30%伸びた(集計期間は3月23日〜4月6日)。購買層は40代を中心として、30〜50代に売れていて、弁当ランキングの1〜4位にシリーズ全4品がランクインした。昼の12時台と午後6〜8時といった、昼と夜の食事時における購入が多い。また、2回分の食事用に複数個をまとめて購入する顧客も目立っている。
現在展開中なのは6品。550円で「これが鶏竜田揚げ弁当」(以下:「これが」と「弁当」省略)と「チキン南蛮」「豚生姜焼」「チキンステーキ」を用意。598円で「牛カルビ焼肉」「ビーフハンバーグ」を販売する。当初から販売している商品に、チキンステーキと牛カルビ焼肉が加わった。
いずれも素材と製法にこだわっている。例えば、これがチキンステーキ弁当では、容器からはみだしそうな迫力あるチキンステーキが入っており、食欲をそそるガーリックしょうゆのステーキソースを別添している。付け合わせはコーンとニンジンのバター炒め。
なお、同社では500円台の弁当を高価格帯に位置付けていない。コンビニ業界全体でも普通の価格帯と見なしているようだ。
このようにローソンでは、冷やして陳列・販売するチルドに注力したちょいシリーズと、これが弁当シリーズでヒットを放った。チルド化により、店頭販売時間が常温の約18時間から約66時間へ延び、食品ロス削減にも寄与している。
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