5年間でベトナム3位の人気企業に 1500人の多国籍IT集団はどのようにして生まれたのか:「エンジニアは未来を作るヒーロー」(4/4 ページ)
約1500人のIT人材を抱え、ほとんどをベトナムなどの海外エンジニアが占めるSun Asterisk。同社がベトナムに目をつけたのはなぜか。そして、ベトナムで3番目の人気企業になるまで、どのようなプロセスで規模を拡大してきたのか。
それでもこの事業を継承したのは、優秀な学生をクライアントや日本のスタートアップ企業に就職支援すれば、日本と海外の人材が協力して価値を作ることにつながるからです。その代わり、僕らは採用した企業からフィーをもらうことで、この事業を持続拡大できる。そういうモデルを作りました。
現在も「x seeds Hub」として事業を続けており、ハノイ工科大学では、1学年1000人ほどまで参加学生が増加。また、ベトナムの他大学や、インドネシアやマレーシアの大学でも開始しています、
こういった形で、ベトナムを中心に規模を拡大することができました。社員50人から初まったSun Asteriskは5年で1000人ほどにまで増えて、応募も今は毎月1000件を超えています。現地では、人気企業の3位に名を連ねることもできました。
ここまで受け入れてもらえた理由として、エンジニアは未来を作る仕事であり、ITで事業を作るのは楽しいと徹底して伝えてきたことが大きいと思います。エンジニア一人一人がヒーローであり価値なんだと。その温度感が伝わったのではないでしょうか。
起業当時に言ったとされる「エンジニアの給料を2年以内に3倍にする」という目標も、無事に達成できました。当時からいるベトナム人のエンジニアが「あのときの話、本当になったね」と言ってくれたんですね。
これがベトナムでのSun Asteriskのプロセスになります。
DXは、ネットフリックスを使うことから始める気持ちで
Sun Asteriskはその後、企業のDXに携わり、事業のデジタル化を数多く行ってきました。次回の記事では、僕らの携わったDXの実例を紹介できればと思っています。最近思うのは「DXとはどうあるべきか」という議論が多すぎて、企業がDXにチャレンジするハードルを上げてしまっている気がします。
例えば「業務のデジタル化(=デジタイゼーション)はDXではない。事業のデジタル化(=デジタライゼーション)をすべきだ」みたいな話がありますけど、そうやってDXの難易度を高くしまうのはもったいないです。
どんな小さなことでもいいから、まずはデジタルやITを使ってみて、その価値を実感するのが大切だと思います。ITリテラシーのある企業ならデジタルの価値は分かっていますが、業種的にまだ本当の意味でつかめていない企業もあります。そのとき、いきなり事業のデジタル化を狙うのは簡単ではありません。
身の回りのことから始めればいいと思います。例えばデジタル化してハンコをなくすことでもいい。最初は抵抗もあるだろうけど、やってみると便利とか、残業が減ったという声が出るかもしれません。ネットフリックスやウーバーイーツを使ってみるとか、自分のビジネスに関係ない、個人的なことでもいいんです。
そうやってデジタルの成功体験を重ねると、次第にその価値を実感し、自分たちの事業にデジタルをどう生かせるか考えられるようになってくる。これが全てのDXサイクルの起点になるのです。
まずはその起点を作らないと、いきなりデジタライゼーションを狙うのは難しいと思います。そんな意識でDXのサイクルを生むのが良いのではないでしょうか。
では、実際にSun Asteriskがどんな企業とどういったDXに取り組んできたのか。次回以降、企業の方を招いて、実際のDX事例を紹介していきます。
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