中国人の不動産爆買い復活の兆し〜大江戸温泉売却案浮上、投資家9割「日本に行きたい」:浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(3/5 ページ)
中国不動産大手・恒大集団が債務危機に陥り、中国経済や景気への影響が懸念されている。大江戸温泉物語が中国企業と売却交渉しているとの報道が出るなど、観光業界の回復を見込んだ動きもある。中国の不動産市場の先行きと日本市場への影響を、中華圏で日本不動産を紹介するプラットフォームを運営する趙潔社長に聞いた。
不動産規制も徐々に緩和の空気
――不動産バブルには対処しなくてはならないでしょうが、恒大集団のような債務危機にある不動産企業や地方政府にとって、住宅が売れないのは死活問題で、中国経済には打撃になると見られています。
趙氏 確かに、不動産企業のキャッシュフローの悪化は規制とも関係しています。ただ、中国政府はこれまでも、規制強化で市況が悪化すると経済への打撃を抑えるため半年〜1年で規制緩和してきました。そのため今回の不動産規制も徐々に緩和されるのではないかという空気があります。
――不動産価格の下落は一時的なものだと?
趙氏 上海や北京の住宅価格が高騰しているといっても、郊外なら買えないことはないですし、地下鉄の路線が年々拡充されており、通勤圏は広がっているんですね。ですから不動産価格はまだ上がると考えられています。
そもそも中国は、株式取引の利益が出たら資産の一部を不動産に移し、不動産市場が規制されればお金を株に流すという状況が続いています。投資できるものが株と不動産くらいしかないので、相場が下がりにくいのです。
――海外不動産への投資意欲はどうでしょうか。
趙氏 コロナ禍により停滞しているのが実情です。興味があっても渡航が難しいので、確かに購入は鈍っています。当サイトにも問い合わせはありますが、購入までの時間が延びています。
ただ他国を見ると、留学生の渡航が回復しつつあるカナダ、イギリス、米国の物件は夏から動き始めました。
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