転換期の採用領域 HRテックを活用すべき2つのポイントと、求められる4つのスキル:オンラインシフトへの対応は(2/4 ページ)
コロナ禍で激変する採用領域。HRテックの活用機運も高まるが、テクノロジーは決して「魔法の杖」ではないことに注意が必要だ。その特質を踏まえ、採用領域においてテクノロジーを活用すべきポイントはどこにあるのか。人事領域に詳しい筆者が、「2つのポイント」と、これから求められる「4つのスキル」を解説する。
また、筆者の元へ、「HRテックを使って自社の採用力を上げたいのだけれど、どうしたらいいか」「他社の採用で使っているHRテックがいいと聞いたのだが、どうだろうか」と相談をいただくケースも多くなっています。
これらの相談内容は、「HRテックを導入すること」が目的になってしまっています。そこで筆者は「そもそも、貴社では採用で何が問題になっていますか?」とお伺いするようにしています。
HRテックは万能ではなく、あくまで「ツール」です。従って導入を検討する前に、自社の課題をはっきりさせる必要があるのです。まずは「採用で何を実現したいか」という、本質的な目的を明らかにし、課題を整理することから始めなければなりません。そうしなければ、いくらいいテクノロジーツールを導入したとしても、大きな改善は見込めないでしょう。
数十年変わらない「非効率」な採用手法
日本では長らく「人が介在する採用」を美徳としてきた文化があります。筆者がはじめて人事になったのは40歳のときですが、採用活動で最も驚いたのが「手法が変化していないこと」でした。
筆者の就活時には「リクルートブック(新卒就活雑誌)」が自宅に送られてきて、添付されている「ハガキ」で企業にエントリーするという紙媒体を使った手法でした。それから長らく年月はたっていますが、採用手法の変化は「ネットでのエントリー」に変わっただけです。
説明会をリアルで実施して母集団を多く集め、人が介在した面接を行い、多く集めた母集団からふるいにかけて少数の内定者を決定する――こうした社内の人的リソースをフル活用して選考するという非効率な採用手法のままだったことに驚きを感じました。
人にはそれぞれ異なった価値観があります。その中で、面接官の評価基準を統一しようとしても、価値観が異なり評価基準がズレるのは当然だと思います。採用に関与する人が増えれば、さらにバラバラになるでしょう。テクノロジーが変化しているにもかかわらず、多くの企業は長きにわたり「会って話をしなければ人は判断できない」という、人の感覚に頼った合理性を欠く非効率な採用手法をとり続けてきたのです。
また、それぞれの企業で、採用の課題は異なるはずです。
- 母集団が集まらない
- 優秀な人材が採用できない
- 内定辞退が多い
- 採用業務における効率が悪い
- 離職率が高い(社員が定着しない)
こうして簡単に挙げただけでも、採用活動で企業が抱えがちな課題は、数多くあります。加えて、課題により解決手段も異なってきます。つまり、自社の課題は何かを理解した上で、その課題を解決するのに適したソリューションを選ぶ必要があるのです。
これからの日本は、世界的にも未曽有の労働人口減少による採用難の時代に入り、少ない求職者の取り合いになっていきます。求職者は、大手を中心とした人気の高い企業に集中していくはずです。採用力の弱い企業は、これまで以上に採用難に陥り、さらに採用格差が大きくなるでしょう。採用難に陥っても合理的で効率のよい採用をできるように、ここまで紹介してきた「人が行う採用」「自社の課題への理解不足」という課題を乗り越え、今から時代に則した採用手法の検討を行うべきなのです。
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