転換期の採用領域 HRテックを活用すべき2つのポイントと、求められる4つのスキル:オンラインシフトへの対応は(3/4 ページ)
コロナ禍で激変する採用領域。HRテックの活用機運も高まるが、テクノロジーは決して「魔法の杖」ではないことに注意が必要だ。その特質を踏まえ、採用領域においてテクノロジーを活用すべきポイントはどこにあるのか。人事領域に詳しい筆者が、「2つのポイント」と、これから求められる「4つのスキル」を解説する。
HRテックを活用すべきポイント(1)「採用マーケティング」
このような環境でHRテックを活用すべきポイントの一つは「採用マーケティング」です。多岐にわたる人事業務の中でも、採用は「唯一のマーケティング業務」といってもいいものです。この領域でこそ、HRテックを活用してみましょう。
リクルートが作り上げた「ナビ採用」は、「どんな企業でも、どんな求職者でも、平等に参加できる」インフラを作り上げました。これにより、多くの企業が採用手法の選択肢を増やせるようになり、「母集団を増やす」という採用手法がスタンダード化していきました。このようなインフラを確立したリクルートの功績はとても大きいと思います。
一方、ナビ採用の利用企業が大きく増えたことで、各企業の採用手法がパターン化してしまい、違いが見えにくくなってしまいました。採用手法がパターン化したことにより、本来企業自身がしっかり考えるべき「採用の目的や課題」を考える機会が少なくなるという弊害も出てきました。
昨今、少しずつ採用の多様化が進みつつありますが、企業がやるべきは「自社の採用戦略の再構築」だと思います。どんな採用が自社にマッチしているのか、自社の採用を成功させるためには何を目的にしたらいいのか。しっかりと原点に立ち返って見直し、その目的に応じた採用マーケティング手法をとるためにHRテックを活用し、オリジナリティーのある「採用マーケティング」を行っていく必要があるのではないでしょうか。
HRテックを活用すべきポイント(2)「選考プロセスの見直し」
もう一つのHRテック活用ポイントは「選考プロセスの見直し」です。
「人が介在する採用」を行えば、自社内で多くのリソースを使うことになり、採用パターンも多様化していくことで、ますます採用担当者の負荷は高まるばかりです。
そもそも採用は「社員の入社前のプロセス」であり、社員が企業に利益や価値を生み出す前の段階といえる業務です。そこで人事以外の社内リソースを活用すれば、本業を離れることになり、現場社員の業務時間を奪ってしまいます。企業によっては、人事担当者も他の業務を兼務しており、採用以外の業務に支障を及ぼしたり、逆に他の業務が忙しすぎて採用に手が回らず、うまくいかなかったりすることもあるのではないでしょうか。従って、まずは利益や価値を生み出す前の業務で、社内の見えないコストがかかっていることをしっかりと理解すべきです。
そして、そうした状況を解決するために、選考プロセスを見直し、HRテックを導入して業務効率化につなげることで採用の業務コストを軽減させることは大きな意味を持つはずです。
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