転換期の採用領域 HRテックを活用すべき2つのポイントと、求められる4つのスキル:オンラインシフトへの対応は(4/4 ページ)
コロナ禍で激変する採用領域。HRテックの活用機運も高まるが、テクノロジーは決して「魔法の杖」ではないことに注意が必要だ。その特質を踏まえ、採用領域においてテクノロジーを活用すべきポイントはどこにあるのか。人事領域に詳しい筆者が、「2つのポイント」と、これから求められる「4つのスキル」を解説する。
ますます多様化・複雑化している採用領域ですが、採用担当者も意識を変えて、新しいスキルや経験を身に着けていく必要があります。
これまでの採用担当者が持つスキルとして重宝されてきたのは、「人に興味がある」「人と話すのが好き」といったものでした。しかし、それだけでは足りない時代に入ってきています。採用スタイルを変え、これからの時代に対応していくためには、次のようなスキルが必要になってくるでしょう。
(1)テクノロジーを活用できる
(2)マーケティング(特にデジタルマーケティング)に精通している
(3)業務改善を行い、実行できる
(4)組織目線で人事を捉えられる
中でも特に重要なのが「(4)組織目線で人事を捉えられる」というスキルです。
採用は、先述のように入社前のプロセスにすぎないため、自社に利益や価値をもたらすのは当面先になります。採用が他の人事業務と担当が分かれていて、採用担当者が入社後の活躍までの業務責任は負わされていないケースも多いのではないでしょうか。いかに採用効率を上げていくかや、母集団形成を是とした採用スタイルを見直し合格率を上げられるか、また入社後の活躍やエンゲージメントを高める採用手法への転換など、経営目線で採用を考える力は必要不可欠といえるでしょう。
今後、新型コロナの感染者が落ち着いていけば、さらに世の中も変わっていきます。採用においては「企業が求職者を選別する」のではなく、「求職者が企業を選別する」という時代に入っていきます。これからの採用担当者は、求められてきたスキルに甘んずることなく、意識を高めてスキルをつけ、テクノロジーとの両輪で人事を改革していくことが必要です。
著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)
組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長
株式会社モザイクワーク 取締役副社長
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役
法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。
新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。
「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っているほか、Twitter、Linkedinでも活動している
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