自動運転の4車種一気試乗 見えてきた各社の考え方:高根英幸 「クルマのミライ」(2/6 ページ)
各メーカーや企業が開発した自動運転車を乗り比べた。これにより1台だけ試乗するのでは見えてこない自動運転に対する考え方、システム実現へのアプローチの違いなどが、改めて浮き彫りになった。
トヨタは運転者と肩を組み、周囲のクルマとも協調を追求
まず試乗したのはトヨタMIRAIである。FCV(燃料電池車)としての先進性に加え、レベル2の自動運転システム「TOYOTA Advanced Drive」を搭載して、頭脳を持つクルマとして一層の進化を遂げている。
その特徴は、レベル2ながらハンズオフ走行を実現しているところだろう。日産がスカイラインに搭載しているプロパイロット2.0と同様、走行中にステアリングから手を離せるのだ。
まず高速道路を走行しているとメーターパネル上にAdvanced Drive READYの表示が現れる。システムが周囲の環境を判断して自動運転の準備が整ったことをドライバーに知らせてくれる。
そしてステアリングの右側スポーク上にあるスイッチによってアドバンスドドライブを作動させると、その時点での車速でACC(前走車追従機能付きのクルーズコントロール)が働き、前走車に追従を始める。そしてメーターパネルの背景色がグレーからブルーに変わるとステアリングから手を離せるハンズオフが可能になる。
ただしステアリングから手を離しても、運転の主権はドライバーにあり、常に前方の交通状況には注意を払っている必要がある。そのためドライバーの顔を認識して視線やまぶたの開き具合などをモニタリングしており、今回の試乗ではマスクを外して運転することが求められた。
ハンズオフ中もハンズオンでの状態でも、LKS(レーンキープアシスト=車線の中央を維持する操舵支援)のトレース性能は高く、首都高速の9号深川線やC1(都心環状線)でもまずまずのトレース性を見せてくれた。さすがに路肩のペイントが削れてほぼ消失しているような状態では、Advanced Driveが解除されるシーンもあったし、分岐地点など車線があいまいになるところでは進路が乱れることもあったが、こうした地点ではステアリングを保持するようシステムが要求するので、正しい進路へとドライバーが修正してやればいい。それはレベル2の自動運転としては当然のことで、トヨタはこのシステムに「Team mate」というサブネームを与えている。
フロントのLiDAR(赤外線レーザースキャナ)とフロント及びフロントサイド/リアサイドのレーダーなどで360度検知しているおかげで、車線変更してくる車両の認知も素早く、合流区間では合流が始まる前から真横の車両を検知して、譲って(減速して)前方へ合流させるか、譲らずに走行を続けるか判断する。しかし、相手のドライバーも合流地点ギリギリまで車速を変化させるなど、予測できない状況も生まれるため、最終的にはドライバーが判断することが求められることも多かった。これはレベル2である以上、当然のことだろう。
そしてAdvanced Driveでは車線変更も自動で行ってくれる機能があるのだが、これは意外と難しかった。前走車に追い付き、システムが追い越しするか尋ねてくる場合と、自分で車線変更をさせる場合があるのだが、どちらもスイッチ操作に加えて行きたい方向へ視線を移す必要がある。ところが、スイッチ操作と視線移動のタイミングをつかむのが難しく、周囲のドライバーへの配慮もあってやたらと車線変更を繰り返すこともできないので、慣れることはできなかった。
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