自動運転の4車種一気試乗 見えてきた各社の考え方:高根英幸 「クルマのミライ」(3/6 ページ)
各メーカーや企業が開発した自動運転車を乗り比べた。これにより1台だけ試乗するのでは見えてこない自動運転に対する考え方、システム実現へのアプローチの違いなどが、改めて浮き彫りになった。
高速道路の巡航主体に割り切ったBMW
BMWは、海外メーカーでありながらSIP-adusの実証実験に参加している数少ないブランドだ。今回の試乗会では5シリーズと3シリーズのセダン2台の試乗車と、これから実証実験に使われるX5を展示した。
筆者は340iに試乗したが、自動運転=エコカーの装備というイメージが強いため、エンジンスタートでややワイルドな排気音が車内に響いたのには、ちょっと驚きを感じた。
そもそも輸入車の取材歴が長い筆者は、BMW車も昔から数え切れないほど試乗しており、そのエンジンとハンドリング性能の高さが、歴代のBMW車に通じる魅力だということはよく知っている。しかし今回の舞台がSIP-adusということでEVやFCV、HEVが多い中で、純エンジン車のスポーツセダンというのは、やはり異色の存在だったのだ。
試乗は会場の都合で首都高速湾岸線を往復するルート。制限速度近辺で走行する際にもACCは有効で、LKSも小刻みに修正舵(しゅうせいだ)を入れてトレース能力の高さを伝えてくる。さらに渋滞区間ではアシストプラスの文字とACC&LKSのインジケーターがグレーからグリーンに変わり、ドライバーが承認することでハンズオフ機能が作動する。
アウトバーンを毎日の通勤で使うようなドライバーには便利なこの機能、しかし日本で試乗すると意外なデメリットも感じ取れた。まずハンズオフは視線のモニタリングが厳しく(個人差はあると思われる)、視線を進行方向から外しているとクルマからは警告を受け、前方を見ていても全体をぼんやり見ているだけでも警告を受ける始末。
個人的には、ここまで厳しく視線を監視されるのであれば、むしろハンズオンのままACCとLKSを利用した方が快適だと思った。ハンズオフでも視線を常に前方に向けていなければならないのであれば結局、空いた両手は他にできることは少ない。逆にACCなら渋滞を走行中にも、視線はあちこちに向けられるので、ストレスはずっと少ない。
また合流区間では左から小型トラックが迫ってきたが、このトラックをアシストプラスが認識するのは意外とギリギリまで迫ってからだった。フロントカメラやフロントレーダーだけで制御していると、車線変更してくる車両は突然現れることになるので、その見極めが難しいらしい。
しかも渋滞時に車線変更してくるクルマは車間距離が短いため、真横から迫ってくることも珍しくない。やはりハンズオフであってもドライバーに運転の主権がある以上は、早めにブレーキを踏んでスムーズな合流を実現した方がいいだろう。
BMW340iで首都高速湾岸線の渋滞区間を走行中の模様。ハンズオフでも視線は常に前方注視を強いられるのは、小さくないストレスだ。メーターパネル上ではハンズオフを実現しているアシストプラスとグリーンの背景色を表示。視線が前方注視のままであれば、メーターパネルをスマホで撮影することもできた。
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