自動運転の4車種一気試乗 見えてきた各社の考え方:高根英幸 「クルマのミライ」(4/6 ページ)
各メーカーや企業が開発した自動運転車を乗り比べた。これにより1台だけ試乗するのでは見えてこない自動運転に対する考え方、システム実現へのアプローチの違いなどが、改めて浮き彫りになった。
日産はリーズナブルに使い勝手を向上させた
日産ではノート オーラに試乗した。現行のノート同様、このノート オーラにはプロパイロット(ナビリンク機能付き)が搭載されており、カーナビの地図情報から自車位置の道路形状を読んで、カーブの曲率に合わせて速度を調整してくれる。ただし今回は会場の都合から走行ルートとして利用するものの、基本的に首都高速は作動条件の対象外だ。
従来のプロパイロット1.0は加減速という縦方向の制御と、横方向の舵角(だかく)制御が独立しており、コーナーに入っても速度を保ったまま走行しようとするために、LKS自身がレーンからの逸脱警報を受けるという状態になってしまうこともあった。しかしナビリンク機能付きでは、湾岸線に出るような大きなカーブでは10キロ程度の減速を行い、さらに芝浦PA付近の下りコーナーでもしっかりと減速して、非常に安心感がある。
コーナーでははらみ気味になることもあったほか、箱崎のジャンクションではスピードを落とし過ぎるようなシーンも見られた。同乗してくれた技術広報の江上真弘氏によると、ドライバーがシステムを信用し過ぎないように、あえてアンダーステア気味にセッティングされている影響もあるそうだ。
カーナビの地図情報はアバウトで、左車線右車線の区別もない。つまり同じ地点に見えても、実は走行車線が異なるとコーナーで曲率も違うから、アンダーステア気味に仕上げる必要があったのだ。
システムとしてはまだまだ煮詰める余地を感じさせる。それでも、このクラスのクルマにこの価格(約260万円)でレベル2の自動運転を実現していることは、やはり凄い。先駆者のノウハウを感じさせるものだ。
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