マッチングアプリのノウハウを応用 元リクルート社員が手掛けた1対1のパーソナルジムは何が違うのか:継続率は9割以上(3/3 ページ)
ありとあらゆるものが「リモート」化する中、19年から1対1のオンライントレーニングを提供するサービスがある。「ZENNA(ゼンナ)」だ。手掛けたのは、元リクルートの中川純希氏。かつて携わったマッチングアプリのノウハウが生かされている。
トレーナーの顧客獲得率と継続率を可視化
また、IT企業では当たり前となっている短期間でPDCAサイクルを回す手法を導入。トレーナー一人一人の顧客獲得率と継続率を可視化し、知識や情報の共有をオンラインで完結することで効率化を進めた。
当初は年代や性別を問わずに幅広く行っていた集客も3つのターゲット層に分け、マーケティング手法の違いを色濃く出している。タイプ別では「30〜40代女性」「40〜60代女性」「30〜60代男性」だ。
「それぞれフィットネスに求めていることが違うので、広告のキャッチコピーも分けて出すようにしています。例えば、若い女性に対してはボディメイク的な部分を押し出し、女性のモデルを起用してポップな印象にするなどです。男女や年代で分けるという意味では、これにもマッチングアプリの手法が生きています」
また、30〜40代の女性は、ECでコスメやサプリメントなどを購入したいと考えている割合も高いことから、ZENNAで構築した顧客基盤に対し、新しい商品やサービスを提供するといった、総売上数を増やす施策の展開も可能だとしている。
今後、ジザイエではフィットネス分野に留まらずに、利用者のバイタルデータをIoT機器で蓄積・分析して日々のトレーニングやライフスタイルの向上につなげたり、何らかの異変を早めに察知して健康維持に寄与したりすることも考えている。
中川さん自身が脳梗塞に倒れてしまったという経験が、その思いを育てていた。東京大学大学院で精密工学の研究をしていた中川さん。「世の中の人にきちんと届く形で研究成果を使いたい」と、コミュニケーションを大切にする温かみと生活を進歩させる先端技術の両面から、健康づくりのアプローチを続ける。
著者プロフィール
長濱良起(ながはま よしき)
フリーランス記者。元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、沖縄県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。同年から個人事務所「XY SUDIO」代表。記者・ライター業の傍ら、フリーのTVディレクターや音楽制作業でも活動する。1986年、沖縄県浦添市出身。
著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(東洋企画工房)がある。
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