フェイスブックの社名変更に勝算はあるか:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
元社員の内部告発などスキャンダルのど真ん中にあるフェイスブックが、社名を「メタ(Meta)」に変更した。この名称変更に勝算はあるのだろうか。
社名変更で成功した有名企業
こういうケースは実は有名企業でもけっこう多い。米ボストン生まれの「ダンキン・ドーナツ(Dunkin' Donuts)」も18年に「ドーナツ」をなくしているし、「ケンタッキーフライドチキン」も91年に「KFC」に名称変更した。KFCの場合は、フライドチキンが健康的ではないというイメージを変えるべく、名前を変更したと、米紙などには指摘されていた。電気自動車のテスラも「テスラ・モーターズ」からモーターズを17年に取った。
またこんなケースも。米小売大手ウォルマートは、もともと「Wal-mart」と間にダッシュが入っていたが、18年に「Walmart」に変更した。その理由は、公式サイトのアドレスが「-」のない「walmart.com」で、オンラインショッピングなど広く知られるようになっていたため、サイトのアドレスに合わせるために名前を変えたという。
企業の方向性や価値観の変化などを示すのに名称変更は頻繁に行われていることが分かる。あらためて企業のアイデンティティーを示すという意味では、多くの企業が変更を行ってきた歴史がある。そしてそれが企業の存続や拡大にとっては重要な手段になっているといえそうだ。
ただネガティブなパターンもある。米警備会社だった「ブラックウォーター(Blackwater)」は、イラク戦争などで同社関係者がイラク市民17人の殺害に関与したことが明らかになり、メディアでも大きく取り上げられた。
そんなこともあり、同社は09年に名前を「ジー・サービシズ(Xe Service)」に変更。しかし今度は同社関係者がアフガニスタンで民間人2人を殺害して有罪に。その後再び、名称を「アカデミ(Academi)」に変えている。このように過去を消すために名前を変更するというケースもあるが、今のインターネット時代には少し調べたら過去の事件もすぐに明らかになってしまうため、得策とはいえない気もする。
関連記事
- 「日本のアニメ」は家電や邦画と同じ道を歩んでしまうのか
技術や品質が「下」だとみくびっていた相手に、いつの間にか追い抜かれてしまう。そんな悪夢がやって来るのだろうか。白物家電や邦画が追い抜かれたように、「日本のアニメ産業」も負ける日がやって来て……。 - タイム誌初の「世界の企業100選」 日本企業は入ったのか?
米国のタイム誌がビジネスパーソン必見の特集を組んでいた。特集名は「世界でもっとも影響力のある100社」。どんな企業が選ばれていたのか、日本の企業は……? - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 次に来るのは「メタバース」なのか フェイスブックが動く
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOが「メタバース(仮想空間)」にチカラを入れていくという。英国のメディアで野心的な話をしたわけだが、なぜメタバースなのか。その背景には……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.