760万円突破 最高値更新をけん引したビットコインETFとメタバースの影:専門家のイロメガネ(4/7 ページ)
ビットコインが過熱している。2020年の年末から21年にかけてビットコイン価格が急騰、最近では10月20日に日本円で約760万円(約6万6000ドル)と最高値を更新した。これは米国でビットコインETFが10月19日に上場したことが大きなきっかけだ。
ビットコインETFとはなにか?
ビットコインETFとは、ETFの投資先にビットコインが含まれるものを指す。すなわち、ビットコインの価格に連動する上場投資信託だ。これまではビットコインへ投資するには仮想通貨の取引所に口座を開設し、そこで売買をする必要があった。しかしビットコインETFの登場で証券会社の口座から投資が可能にる。
これはただビットコインへの投資がしやすくなったことにとどまらず、巨額の年金資産などを運用する機関投資家がビットコインに投資をする可能性も示している。
ビットコインはデジタルゴールドと呼ばれることもあるが、現在では金もまたETFを通じて証券会社で購入が可能となっており、実物の金を買って保有する手間やコストを考えれば投資のしやすさではETFが格段に優れている。ビットコインETFもビットコインを直接購入する場合と比べて同様のメリットがある。
ETFは低コストかつ分散投資ができるというメリットがあるために、機関投資家のETF投資額は増加傾向にある。結果として、機関投資家が持つ巨額の運用資金がビットコインETFへ流れ込む可能性がある。
なお、今回上場したビットコインETFはビットコイン先物ETFとなっている。そのため、正確には「ビットコインの先物取引の価格を用いる指標に連動する上場投資信託」という説明になる。先物取引とは、あらかじめ定められた期日(満期日)に特定の商品(今回であればビットコイン)をあらかじめ決められた価格で売買することを約束する取引を指す。
この点について、米国のSEC(証券取引監視委員会)のゲンスラー委員長は、ビットコインの現物に投資をするETFではなく先物ETFが望ましいとコメントしている。
なお、今回のビットコインETFの承認は、米国におけるものである。国内の証券取引所で取り扱う海外ETFは、金融庁への届出などが必要になっており、執筆現在(2021年11月8日)においては未承認のままとなっている。すなわち、日本の証券取引所においてビットコインETFは購入不可能となっている。
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