760万円突破 最高値更新をけん引したビットコインETFとメタバースの影:専門家のイロメガネ(5/7 ページ)
ビットコインが過熱している。2020年の年末から21年にかけてビットコイン価格が急騰、最近では10月20日に日本円で約760万円(約6万6000ドル)と最高値を更新した。これは米国でビットコインETFが10月19日に上場したことが大きなきっかけだ。
ビットコインETFが承認された背景
ビットコインETFが承認された背景の一つに、ビットコイン自体の安全性が認められ、社会的に認められた存在となりつつあることも示している。
もちろん、相変わらずビットコインの変動は非常に高く、ビットコインの投資で大もうけする人がいる一方で大損する人も絶えない。そのため数年前までビットコインは、ネット上の架空のお金として賭博的な資産と見られていた。おそらく今もそのような見方を変えていない人は多いだろう。
ETFとして認められるにはビットコインの安全性が担保される必要があった。今回のETF承認を受けて、ビットコインを始めとした仮想通貨全体の信頼性が一段階向上したことは事実であり、ETFを通じて機関投資家などがビットコインへの投資を始めるきっかけとなるだろう。
ただし、いくらビットコインETFが承認されたからといって、ビットコイン自体の安全性がが確保されたと断言することはできない。
そもそもビットコインはハッキングによるリスクや、取引所から流出するリスクを抱えている。日本でもコインチェックの流出事件が大きな話題になったように、過去に取引所からコインが流出したことが何度もあり、多くの投資家が損失を被っている。
日本でビットコインの名前が知られるようになった最初のきっかけも、仮想通貨の取引所を運営していたマウントゴックスからビットコインが流出し、その後破綻した事件だ。
ビットコインの流出事件が起これば直接的な被害はなくともその価格に大きな影響を与えることもある。コインチェックでネムという仮想通貨が流出した事件は、当時価格が急騰しビットコインバブルと呼ばれていた状況が崩壊するタイミングとほぼ一致しており、仮想通貨全体の価格にマイナスを与えた可能性も十分にある。
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