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コロナ禍でも宿泊客を集める、半世紀前に築き上げられた「貸別荘」ビジネスの威力地域経済の底力(1/4 ページ)

多くのホテル・旅館がコロナによる大打撃を受ける中、早くもコロナ前の売り上げ水準を超える勢いを見せているのが、山梨・八ヶ岳や静岡・伊豆などで施設を運営するセラヴィリゾート泉郷だ。堅調な理由は、同社が約50年前に作り出したビジネスモデルにあった。

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 終わりの見えない新型コロナウイルスの影響で、宿泊業界はもがき苦しんでいる。

 帝国データバンクによると、2021年10月までに全国114件のホテル・旅館がコロナ関連で倒産した。窮地に立たされているのは中小事業者だけではない。帝国ホテルは21年3月期の連結決算で143億円の赤字、「ホテル椿山荘東京」などを展開する藤田観光は20年12月期で224億円の赤字を計上した。

 9月に緊急事態宣言が解除となり、新規感染者が激減している今、政府は「Go To トラベルキャンペーン」の再開を検討するなど、宿泊業界の景気回復に躍起になっている。

 この1年半で業界全体が大きく沈んだ中、何とかダメージを軽減して踏みとどまり、再起を図ろうとする会社もある。その一社が、セラヴィリゾート泉郷だ。


八ヶ岳にあるセラヴィリゾート泉郷の高級コテージ

 セラヴィリゾート泉郷は、山梨、静岡、長野といった中部エリアで宿泊事業や不動産事業を手掛ける。リゾートホテル「ホテルアンビエント」や、「わんわんパラダイス」「Wan’s Resort」という愛犬と一緒に泊まれるホテルブランドなどを各地で展開する。

 近年は愛犬ホテルを中心に業績を伸ばし、19年5月期は約100億円の売り上げに。コロナ禍で20年は約79億円、21年はさらに落ち込むも、すでに底を打った。ホテル全体の収益は、19年12月と比べて今年12月は予約段階ですでに36%増となるなど、2〜3年のうちにはコロナ前の水準を超える見通しだという。

 回復力の早さの秘密は、同社の業態にある。宿泊施設の大半はコテージなのだ。一般的なホテルなどと異なり、宿泊客同士が接触する場面がほとんどない。密を避けられるということで、コロナ禍でも影響はあまりなかった。実際に、10月初旬に山梨・八ヶ岳の施設を訪れたところ、多くのコテージが埋まっており、宿泊受付場所には長蛇の列ができていた。

 「クルマでそのままコテージに乗りつければ、他の顧客と出会う心配はほとんどありません。家族だけで安心して過ごせる点が人気で、先々まで予約が入っています」(執行役員兼運営事業本部長の田中大策氏)

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