【前編】TOMA×Sansan対談で学ぶ 迫る改正電帳法、残り1カ月で「するべきこと」「できること」とは?:対談で学ぶ電帳法とインボイス(1/4 ページ)
施行まであと1カ月となった改正電子帳簿保存法。要件が緩和され、大企業だけではなく中小企業も対応しやうい環境がようやく整ったが、実際はまだ準備が十分に進んでいないという現場も少なくないのではないだろうか? 電子取引が義務化されたことで、「うちには関係ない」とはいえない状況となった今、少ない時間でどのように準備を進めるべきなのか?
施行まであと1カ月となった改正電子帳簿保存法。そして2023年10月にはインボイス制度の導入も控えているが、まだ対応が進んでいないという現場も少なくないのではないだろうか? 電帳法に関しては電子取引が義務化、インボイスに関しては仕入税額控除にかかわるため、「うちには関係ない」とはいえない状況だが、少ない時間でどのように準備を進めるべきなのか――。
ここからは、ペーパーレス化や電帳法対応といった業務改善コンサルティングを通して企業支援を行っているTOMAコンサルタンツグループ取締役の持木健太氏と、財務経理、経理実務をこなす公認会計士でありながら、クラウド請求書受領サービス「Bill One」の起案者でもあるSansanの柴野亮氏が対談。「対談で学ぶ電帳法とインボイス」前編として、「改正電帳法の今」について語ってもらった。
販売代理店とベンダーというパートナー関係であり、またセミナーを共催して企業の課題解決に努める同志でもある両社が見聞きしてきたリアルな企業の「対応状況」、残り1カ月で「するべきこと」「できること」とは?
約半分の企業は電帳法対応に追い付いていない?
――改正電帳法の施行まで残り1カ月ですが、各社の対応状況をどう見ていますか?
TOMA 持木:両極端だと感じています。もともと働き方改革の一環でペーパーレス化が進んでいる企業は、当然のように対応済みなんです。受領した請求書はクラウドシステムにのせるフローが既に構築されており、「取引年月日」「取引金額」「取引先名」は当たり前のようにシステムへ入力しているので、電子取引の検索要件も満たしている。ただし、そうでない企業もまだ多い。これは、企業規模には関係ないんですよね。
Sansan 柴野:本当に二極化していると、僕も思います。意外と大企業だからってシステム対応万全なわけでもない。
TOMA 持木:そう、むしろ大企業であるほど、部署ごとで管理体制がバラバラだったりしますから。私自身、コンサル業務の際にヒアリングして業務の棚卸などをお任せいただくのですが、特に請求書の受領形式は本当に部署でさまざまなんです。
Sansan 柴野:当然ながら大企業って社内稟議を回すのに時間かかるじゃないですか。だから「今から新しいシステムを導入します」といっても、ツール選定をどうするのか、全社で対応するのかといったことを考えると、足元を固める時間がすごく長い。これも一種の“大企業病”と言えるかもしれませんね。
TOMA 持木:当社でも、今の時期に相談いただく案件は「1月にはもう間に合わないので、暫定対応でいきましょう」とお伝えしています。相談件数自体は、現在進行形で増えていますから、想像するに約半分の企業は電帳法が対応できていないんじゃないでしょうか。
システム知識が求められるややこしい法律ゆえに――
――そのように対応が遅れる原因は何でしょうか?
TOMA 持木:「原因」とまでは言いませんが、一つの背景として電帳法は税理士の方がまず詳しくないことが多いんです。
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