「頑張ってさえいれば……」 ジョブ型導入を立ち往生させる“社員の思い込み” マネジャーは何をすべきなのか:いまさら聞けないジョブ型雇用(1/5 ページ)
「ジョブ型雇用を正しく定着させていくために、自社が組織的に取り組まなければならないことは何か?」──そんな問いに対し、筆者はマネジャーが重要な役割を担うと説明する。どんな役割かというと……?
今回は、日本企業にジョブ型雇用を定着させるために、現場のマネジャーの役割が極めて重要になることを論じていきたいと思います。
「頑張ってさえいれば……」 社員の思い込み
ジョブ型雇用の論争が始まってある程度の時間が経過した現在、ジョブ型に対する短絡的な盛り上がりは、少し落ち着きを見せ始めたように思います。少し前では、ジョブ型雇用がどういうものか正確には理解できていないままに、転換を考えようとする日本企業がありました。
また、狙いや目的が定かではないにもかかわらず、ジョブ型の人事制度導入を試みる企業も多く見られました。筆者にも、「メンバーシップ型からジョブ型への切り替えを考えているため、ジョブ型雇用の目的と内容について教えてほしい」という依頼が少なからず寄せられましたが、何か本末転倒な印象が拭えませんでした。
ところが、日本企業でもジョブ型雇用の研究が進んだのでしょう、最近ではそうした質問を受けるケースも少なくなりました。それよりも、進んでいる日本企業からは「ジョブ型雇用を正しく定着させていくために、自社が組織的に取り組まなければならないことは何か?」という論点が提示されるようになりました。
とてもシンプルですが、極めて答えるのが難しい問いかけです。それは、ジョブ型雇用が、日本での既存の雇用慣行、日本企業の従来的な人事運用とは基本的には相いれないものだからです。ですので、変えなければいけないことは、細かいものも含めれば数えきれないほど存在します。
その中から、最も大事なものを挙げるとすれば何でしょうか。
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