楽天経済圏での仮想通貨の可能性 楽天ウォレット、山田社長に聞く:金融ディスラプション(1/4 ページ)
楽天グループの仮想通貨取引所「楽天ウォレット」。現在、楽天ペイメントの傘下にあり、楽天キャッシュとの連動など、楽天グループとしてのシナジーを追求している。大手企業のグループ会社として、仮想通貨の現状をどう見ているのか。山田達也社長に聞いた。
2016年に「みんなのビットコイン」として創業した仮想通貨(暗号資産)取引所の「楽天ウォレット」。18年に楽天グループ入りし、19年8月に現物取引を、20年3月に証拠金取引のサービスを開始した。
現在、楽天ペイメントの傘下にあり、楽天キャッシュへの仮想通貨チャージなど、楽天グループとしてのシナジーを追求している。楽天グループの一員として、仮想通貨の現状をどう見ているのか。山田達也社長に聞いた。
ビットコインが最高値を更新し、米国ではついにビットコインETFが承認された。いまの仮想通貨の現状をどう見ているか。
山田氏 カナダから始まって、先日米国でもビットコインETFが承認された。先物を中心としたETFなので、公共性の高いものになる。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のインデックスも現物をベースにしているので、先物から現物価格に連動したETFが出てくる期待感はある。米国でETFが承認されたことで、アセットクラスの1つとして一歩前進できた。
米国が承認したことで、今後欧州でも出てくるだろう。一方で日本では、暗号資産を投資信託に組み込むとなると、金融庁の指針を変えていかないと進まないだろう。
ただし、ビットコインにしても、暗号資産の時価総額は、米国株式との比較でいうと5番目、6番目くらい。まだまだ一つの株式程度の時価総額でしかない。コインの数量は変わっていないので、時価総額が増加するには価格が上がらないといけない。
時価総額が上がれば、アセットクラスの1つと見られるようになり、投機対象から資産の媒介の対象として認知されてくる。
現在は、暗号資産イコール投機対象ということで、まだまだ決済での利用は進んでいない。しかし、海外ではペイパルやマスターカードのように決済利用が進みつつある。
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