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楽天経済圏での仮想通貨の可能性 楽天ウォレット、山田社長に聞く:金融ディスラプション(2/4 ページ)
楽天グループの仮想通貨取引所「楽天ウォレット」。現在、楽天ペイメントの傘下にあり、楽天キャッシュとの連動など、楽天グループとしてのシナジーを追求している。大手企業のグループ会社として、仮想通貨の現状をどう見ているのか。山田達也社長に聞いた。
ステーブルコイン取り扱いに期待
国内で仮想通貨が決済に利用できるようになるためには、何がポイントなのか?
山田氏 ステーブルコインが挙げられる。法定通貨に連動しているので、その価値が担保されている前提だが、ドルペッグ(ドルに連動した)のステーブルコインが証拠金として使われるケースも増えている。
ビットコインやイーサリアムでは価格変動が激しいので、決済で使うのが難しい。さらに決済時にも雑所得対象となるので、使うとなると税計算が煩(わずら)わしい。日本でも、ステーブルコインを暗号資産交換業者が扱えるようになって、さまざまな決済に使えるようになることが最初のステップになる。
海外でもCBDC(中央銀行デジタル通貨)のようなものが発行されると、デジタル通貨の利便性が高まってくる。ただし先進主要国では研究段階なので、まずはステーブルコインがその役割を担うだろう。
ステーブルコインは、現状の日本の法律だと暗号資産に分類されない。法的な整理をどう見るか。
山田氏 暗号資産は資金決済法の中での取り扱いだが、ステーブルコインは資金移動業の範疇(はんちゅう)になる。この点について法整備は進むと理解している。昨今も金融庁のほうで、委員会が開かれて議論されている。
楽天グループには、オンライン電子マネーの楽天キャッシュがある。楽天ウォレットとしてもこれらにつながるサービスを展開しているので、そこは進めていく。
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