50代は本当にお荷物か? “働かないおじさん”問題に悩む企業の勘違い:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/3 ページ)
リモート勤務やジョブ型雇用、希望退職などが注目されるたび、話題になるのが「働かないおじさん」問題だ。50代など、ある一定の年齢になるだけで仕事の能力が低下するわけではないのに、なぜいつも話題になるのかというと──。
「働かないおじさん」が、再び注目されているらしい。
“らしい”と伝聞系にしたのは、「働かないおじさん問題」「50代問題」「希望退職問題」などは決して目新しい話題ではなく、「この数年、ずっと言われちゃってますね」という問題だと認識しているからです。
その一方で、コロナ禍でリモート勤務が拡大したことや、ジョブ型が注目を集めていること、加えて、希望退職という名の肩たたきが「40代に迫っている!」という現実から、「働かないおじさんについてコメントが欲しい」だの、「50代はなんであんなにディスられてしまうのか」だの、「なんで、働かないおじさん化してしまうのでしょうか?」だのといった取材が、私の元に相次いでいます。
良きにつけ悪しきにつけ、社内のあちらこちらが“おじさん”だらけで、目に付く存在なのでしょう。成人人口の10人中5.7人が「50歳以上」ですから、仕方ないことではありますが。
それと同時に、一向に上がらない賃金にあえぐ若手からすれば、「大したこともやってないように“見える”」のに、自分より給料が高いことに腹が立つ。さらに、今年4月から「70歳までの雇用」が努力義務になったことで、企業も中高年の扱いに悩み、つい、本当につい、「働かないおじさん」という50代社員の代名詞と化した切ない言葉を使って、鬱憤(うっぷん)をはらしているのかもしれません。彼らには、ベテラン社員は「モチベーションが低く“見えて”しまう」のです。
実際には、50歳をすぎたからといって、突然、「働かないおじさん」になるわけではありません。50歳以上だけが会社にしがみついてるわけでもなければ、50代が40代より仕事ができないわけでもないはずです。ましてや、50代=PCが使えない、 ITに疎い、とも限りません。
なのに“50代社員”とラベリングされた途端、「コストがかさむ」と揶揄(やゆ)され、「50代より、若手」「そうそう、使えるのはZ世代!」だのと、あたかも年齢が能力を左右するがごとき言説が主張され、50代が厄介者扱いされている。
これって「年齢差別」だと思うわけです。
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