LINEミニアプリにスカウター? パルコ・H2OリテイリングのDXリーダーが語る、物があふれた時代の百貨店:長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」 “百貨店の未来”編(4/5 ページ)
元メルカリCIO長谷川秀樹氏が、IT改革者と語る「IT酒場放浪記」。今回のゲストは、パルコ執行役員の林直孝氏と、エイチ・ツー・オー リテイリング執行役員の小山徹氏。DXを率いるリーダーとして、両者が今考える「百貨店の未来」とは──。
メガネで接客? リアル店舗復活の“起爆剤”
長谷川: 林さん、ドラゴンボールのスカウターみたいなそれは何ですか?
林: GoogleのGlassです。私は、スマホの次はこれだと思っています。
小山: ウェアラブルは来るだろうね。
林: 私たちは当初、スマホの重要性に気付けませんでした。次こそは先んじて着手しないとまずいなと。
それに、(Glassのような)スマートグラスはリアルと非常に相性がいいんです。スマホをかざしながら館内を巡っていただくのは大変ですが、これならハンズフリーで、商品情報からエンターテインメント性の高いものまでさまざまなコンテンツを表示できます。リアルのショッピングにワクワクしない、ネットの方がいいという人たちを連れてくる起爆剤になるかもしれないと思っています。
まずは、Glassのような端末を使って接客を変えていきたいですね。すぐにでもできそうなのは、オンライン会議ツールを使って、遠隔地のお客さまと店舗スタッフがメガネ越しに話したり、新人スタッフでも一定レベルの説明ができるよう、目の前に商品情報を表示するといったことでしょうか。
でも、商品についてスラスラ説明できるだけではお客さまに満足してもらえない。接客で商品情報を伝えるより、お客さまがスマホで調べた方が早い場合もある。いったい何を伝えるためにメガネを掛けるのか、そこから作っていく必要がありますね。
小山: 一つは、店舗スタッフがブランドのヒストリーやプロダクトのこだわりを伝えるストーリーテラーになることではないでしょうか。マシンインタフェースがいくら向上しようとも、そこだけは人間同士の方が共感を得られやすいはずです。
関連記事
- DXとは「すっ飛ばす」こと DXが進まない企業に欠けている視点
DXは間違いなく、現在ビジネスにおけるトレンドワードだ。しかし、その本質を理解している人はどれだけいるだろうか。本記事では350以上の企業などで組織・業務改革支援の経験を持つ沢渡あまね氏が、単なる“デジタル化”では成し得ない、“DXの本質”について解説する。 - “買いすぎ防止”スマホレジを導入したら、客単価が20%上昇 イオン「レジゴー」の秘密に迫る
イオンのレジに革命が起きている。買い物客が貸し出し用のスマートフォンを使い、かごに入れる前に商品をスキャン、専用レジで会計する「レジゴー」だ。スキャンにかかる時間は約1秒。レジでは決済のみを行うため、レジ待ちの渋滞も起きづらい。常に商品の一覧と合計金額が確認でき、利用者にとっては買い過ぎの防止にもなるレジゴーの導入で、客単価が向上したという。その理由を聞いた。 - デジタル時代でも、感動を与えるのは店舗──中川政七商店、ユナイテッドアローズのCDOが語る哲学
元メルカリCIO長谷川秀樹氏が、IT改革者と語る「IT酒場放浪記」。今回のゲストは、中川政七商店 取締役CDOの緒方恵氏と、ユナイテッドアローズ 執行役員CDOの藤原義昭氏。小売り企業のDXを最前線で進めてきた二人が、今あらためて考える店舗の価値、ECの意義とは? - パナソニック新CIO、玉置氏を導いた思想 「CIOは経営者」「話を聞いてもらうために偉くなる」
元メルカリCIO長谷川秀樹氏が、IT改革者と語る「IT酒場放浪記」。今回のゲストは、P&G、ファーストリテイリング、アクサ生命保険でCIOを務め、5月にパナソニックのCIOに就任した玉置肇氏。大学時代はサルの研究者を目指していたという玉置氏が、CIOの道を歩み始めたきっかけは、何だったのか。そして、今考える「CIOのあるべき姿」とは。 - 崩壊寸前だったVoicy 離職率67%→9%に立て直した人事責任者が語る“人事の本質”
日本の音声コンテンツ市場の先頭を走る、音声メディア「Voicy」。3カ月で利用者数が2.5倍になるなど、コロナ禍で驚異的に成長している。しかし、たった1年半前は離職率が67%にのぼり、組織崩壊寸前だったという。そんな中でVoicyに入社し、抜本的な人事改革を行ったという勝村氏。一体どのような改革を行ったのか──?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.