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たった1時間で設計ができる? 「家づくりアプリ」がいろいろスゴいゲーム感覚で設計(5/5 ページ)

納期を劇的に短縮できる次世代の家づくりサービス「Nesting(ネスティング)」が22年春にローンチ予定だ。手掛けるのは建築テック系スタートアップ「VUILD(ヴィルド)」と共創型戦略デザインファームのBIOTOPE(ビオトープ)。ヴィルドの秋吉浩気CEOに「ネスティング」の構想を聞いた。

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23年中にエコロジカルな木造戸建てを100棟建築

 秋吉氏は、「大企業なら3年ほどかかるイノベーションを半年に短縮することができた。一定の達成感を得ている」と話す。では、なぜヴィルドは、これまで誰もできなかった建築のDXを達成できたのか。その答えは、同社のビジネスモデルにあった。

 「僕らは、3D木材加工機『ショップボット』を地域に普及させるとともに、木製ものづくりのデザインからパーツに加工するまでの工程を、オンラインで完結できるクラウドサービス『EMARF(エマーフ)』を開発し、提供してきました。僕らが建築物を設計・施工する際もエマーフの技術とショップボットを活用しています。事業を通して、設計から施工までの工程をデジタルでつなげる知見をためてきたから、ネスティングの構想を実現できたんです」


まったくの素人でも、このような複雑な設計の窓を加工できるという

 エマーフは、このような複雑な設計の家具を、わずか1時間ほどの加工時間で自宅のサイズに合うように調整できる。職人がカットするのではなくショップボットによる出力のため、複雑なデザインでも製造コストが下がり、納期が早いメリットも。


ヴィルドの代表作ともいえる富山県南砺市利賀村に建設した「まれびとの家」(写真提供:TakumiOta)

 同様の技術と地元の木材を使って建設した「まれびとの家」は、20年度のグッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)を受賞。秋吉氏自身は、35歳以下の建築家による展覧会で、Under 35 Architects exhibition Gold Medal賞(2019年)、若手クリエイターに送られるベストデビュタント賞(2020年)を受賞し、これらがヴィルドの知名度アップに貢献しているようだ。

 最後に、秋吉氏が描く展望を聞いた。

 「22年春にサービスをローンチした後、一気にアクセルを踏みます。23年中に100棟、25年までに1000棟の建設が目標。1000棟を超えれば関係者は数十万人規模になり、住宅のあり方、人々のライフスタイルが変わっていく感覚を日本全体に共有できるのではないかと。

 地域の木材を使った家が増えれば、炭素貯蓄量を増やすこともできます。木造住宅は30年に1回ほどのメンテナンスが必要ですが、建築物としての役目を終えた木を燃料に回すなどエコロジーなサイクルも作れます。複数世帯で家を建てることで集落を生むことも。事業を通して気候変動や人口減少、地域格差といった社会課題へ貢献することが事業の根幹であり、僕らがやりたいことです」

写真提供:ヴィルド

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