無人販売のキモは? シャポー船橋でパンを販売して、分かってきたこと:「実証実験」の結果(4/5 ページ)
無人販売が増えてきた。冷凍ギョーザや古着などを販売しているわけだが、筆者が気になっていることが一つある。いずれも店舗を構えていて、そこで商品を販売していることだ。商業施設の中で無人販売をしているところがないのか調べたところ……。
潜在ニーズはあった
6月18日から11月25日までのデータを見ると、売り上げは200万円で客数は4400人。営業時間外に利用した人は46%(営業前11%、営業後35%)。先ほど、このビジネスのキモは「営業時間外でもパンを販売できる」ことを紹介したが、46%という数字をどう見ればいいのだろうか。初めての取り組みなので、高いのか低いのかよく分からないが、売り上げの半分ほどは営業時間外ということを考えると、「潜在ニーズはあった」と言える。
ちなみに、無人で販売しているとなると「万引きが多いのでは?」と思われたかもしれないが、決済率は99.8%。「ほら、0.2%も盗まれているじゃないか」といった声が聞こえてきそうだが、山田さんはこのように見ている。「うまく決済ができなかったのかもしれません。例えば、パンを3個購入する場合、1個ずつバーコードを読み取らなければいけませんが、そのときうまく読み取れなかったのかもしれません」と。このことに気付かなかったので、決済率が100%にならなかったのではないかという見立てだ。
参考までに、某会社がオフィスなどでお菓子やパンなどを無人で販売しているが、こうしたサービスの決済率は95%ほどと言われている。この数字と比べると、99.8%という数字がいかに高いかがうかがえる。
話は前後するが、同社はいつから無人販売を始めたのだろうか。新型コロナの感染が広がって、人と人との接触を避けるめに始めたのかなと思っていたら、実は2019年12月にスタートしている(コロナ前)。販売の機会損失を減らすこと、廃棄ロスを削減すること。この2つを実現するために、同社は無人販売を始めたわけだが、最初はなんと「手売り」をしていたのだ。
シャポー船橋の空きスペースで、寿司を販売することに。閉店後に限定50個を売ってみたところ、連日完売したのだ。「これはいける。やはり、営業時間外のニーズはある」と手応えをつかんだものの、感染の広がりを受けて、事業は1年ほど中断することになったのだ。
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