有名スーパーが“まさか”の勘違い 想定外だった利用客と、致命的な戦略ミス:客層分析をどうする(3/4 ページ)
「どんなお客さんが店舗を利用しているのか」をしっかり把握していないことがある。ある有名な総合スーパーは「ファミリー客がターゲット」だと思っていた。しかし、調査をしてみると……。
来店属性をどう取得するか
以下のような内容を知るためには、まず店舗ごとの来店属性を取得できなくてはなりません。
- 店舗ごとに異なるターゲット
- 店舗ごとに異なる注力カテゴリー
- 全店同一で強化すべきカテゴリー
AIカメラのようなテクノロジーが登場する前は、目検(目視でチェックすること)で数え、それをExcelに打ち込み、グラフにしてPowerPointに貼るという作業工程を経ていました。しかし、この目検はあくまで人の判断です。しかも、ある1日の間の限られた時間帯に数えたにすぎない数値であり、それが全体傾向であるかというと正確とはいえません。
もちろん、顧客の属性さえ把握すれば小売業のマーケティングがうまくいくかというと、話はそんなに簡単ではありません。「顧客はこれを求めているのではないか?」というアイデアや仮説からのアプローチが、成果を生み出すことも確かです。しかし、成功の確度を上げるためには属性把握は不可欠です。
現在では、そうした調査をデジタルテクノロジーが代行してくれます。大量の写真をもとに学習したAIカメラが、24時間ずっと年齢や性別を把握し、平日・休日の傾向を正確に伝えてくれます。
こうした作業を調査会社に依頼したらどのような費用がかかるでしょうか。あくまで一例ですが、1時間当たりの報酬が4万円のコンサルタントに依頼し、1店舗で2時間×20店舗の調査を行うだけで160万円かかります。しかも、ここに報告書作成代などが加わると200万円を超えることでしょう。たった20店舗、しかもある日の2時間の傾向を人の主観で調査した内容にもかかわらず、です。これをAIカメラで行うと、1店舗当たり毎月5000円ほどで1年中データを取得することが可能になります。
調査を行うことが目的ではなく、抽出したデータをもとに今後どのようなアクションを取るのかという議論に時間とコストを割かなくてはなりません。そのために、AIカメラをはじめとしたデジタルソリューションを活用する企業も増えています。
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