「4%賃上げ要求」は妥当か? 賃上げ騒動に覚える3つの違和感:これからの「労組」に求められるものは(1/4 ページ)
政府と連合が中心となり、賃上げを促す動きが出てきている。筆者は、この間の動きをウォッチしながら覚えた違和感があると解説する。果たしてその違和感の正体とは。
岸田文雄首相は「新しい資本主義実現会議」にて、保育士や幼稚園教諭、介護職員などを対象に収入を3%程度引き上げるとし、業績がコロナ禍前の水準を回復した企業についても3%を超える賃上げを期待すると述べました。
また、日本経済新聞は12月2日付で「連合会長『官製春闘』頼みにクギ 4%賃上げ要求決定」』と題する記事を報じています。
政府も、労働組合の全国中央組織である連合も、そろって賃上げ要求するスタンスを示しました。それに対し、経済界の代表組織である日本経済団体連合会(経団連)の意向は、企業業績に大きなばらつきが生じていることを踏まえて一律的な賃上げは見送るものの、各社の状況に応じた労使協議にて賃金を決める方向性を重視すると伝えられています。
労働者からすれば、基本的に賃上げは喜ばしいことです。一方で、経営責任を受け持つ側は業績などの実態を見据え、現実的な判断をせざるを得ません。どの程度の賃上げが実現するか、各社で行われる2022年の春季労使交渉の行方が注目されます。
一方で、これまでと同じように繰り返される労使交渉に、旧態依然とした印象を受ける人も少なくないのではないでしょうか。また連合が掲げている方針にも、労働者の声を代弁しているといえるのか違和感を覚える点がいくつもあります。その中で、賃上げに関連するものを3点挙げたいと思います。
「定期昇給ありき」がもたらす弊害
1点目は、定期昇給ありきのスタンスです。連合が掲げる「2022 春季生活闘争方針」には、具体的な要求目標として以下のように記されています。
“賃上げ分2%程度、定期昇給相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め4%程度の賃上げを目安とする”
世界各国と比較して賃金水準の上昇が進んでいないとされる日本において、賃金上昇を求めること自体は必要な取り組みだと思います。しかしながら、定期昇給維持ありきのスタンスには弊害もあります。
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