上から目線? 経団連が発表した「教育界への提言」が、経済界へのブーメランなワケ:隗より始めよ(1/4 ページ)
経団連が発表した教育界への提言は“喝”ともいえる内容で、至極まっとうなことをまとめている。その一方で、何となく違和感を覚える理由はどこにあるのか。
「学校の勉強って、何の役に立つの?」
ご自身が子どもだったころ、こんな疑問を持ったことがある人もいると思います。あるいは、お子さんから同じような疑問を投げかけられて、回答に窮してしまった親御さんも少なくないはずです。
現在の学校教育について、「今のままで良い」と考えている人よりも、「何らかの改革が必要だ」と考えている人の方が多いのではないでしょうか。また、時代が猛スピードで変化していく中で、新しい知識やテクノロジーを受け入れ、学校教育の場に取り入れることの重要性も日々増してきているように思います。
そんな学校教育に対して、経済界から「提言」が出されたと報じられました。
【参考】日テレNEWS24 「経団連が学校に喝『人材育成の気概を持て』」(2020年11月22日)
Society 5.0とは?
記事の元になっているのは、日本経済団体連合会(経団連)が11月17日に公表した「Society 5.0 に向けて求められる初等中等教育改革 第二次提言」(以下、「提言」)だと思われます。
提言では、「Society 5.0」で活躍できる人材を育成することを目標に、さまざまな教育改革の提言がなされています。Society 5.0とは、日本政府が策定した、目指すべき新たな社会モデルを指します。具体的には、人類がこれまで歩んできた「狩猟社会」「農耕社会」「工業社会」「情報社会」に続く、IoTや人工知能(AI)、ビッグデータなどの活用によるデジタル革新が急速に進展し、世界の産業構造が劇的に変化するような未来社会のことです。こう説明すると単に技術の進歩だけを切り取ったモデルのようにも見えますが、政府資料の中では「経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」とも説明されています。
今回の提言では、そんなSociety 5.0で活躍できる人材を育成するために、学校教育が取り組まなければならないことをさまざまな角度から指摘しています。中でも注目したいのは、“育成すべき人材像”という観点から必要とされる教育内容についてです。大きく5つに整理することができます。
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