コラム
美大はどんな「人材」を送り出しているのか 「普通の会社」で働くために:履歴書指導の意味(3/4 ページ)
文系とも理系とも違うナゾの暗黒大陸、美大とそこで学ぶ学生の人材バリュー。決して美術やデザインだけに限らないことを知っていただきたいと前稿を書いたところ、予想外にアクセスをいただきました。調子に乗って第2弾、美大はどんな人材を送り出しているかを書きたいと思います。
確実に広がった選択肢
キャリア教育にベストはありません。長年取り組んできた理系大学院生向けキャリア教育において、私は最も経験と知見を持っていると自負しています。(持ってるだけですが)
「美大生にはポートフォリオ」が重要なことも重々理解し、それを否定する気は一切ありません。
ただ秋田美大のように、卒業生のほとんどは「会社員」になるのです。その半分は普通の会社員であって、デザイナーやAD(アートディレクター)などのクリエイティブ職ではありません。普通の会社員になるんだったら美大に行く意味がない、のでしょうか?????
東北大や東工大といったトップ大学院の修士/博士を修了して、製造部門や営業部門で働くOBOGは山ほどいます。理系トップ大学院修了者全員が研究者・研究職に就くことはありません。理系トップであれ、美大であれ、「普通の会社」に「普通の職務」で入社するのがマジョリティなのです。もちろんそれは負け組でもなんでもなく、理系出身社長の多くは研究所ではなく製造部門出身であり、理系で営業までできれば会社を背負う基幹業務を2つとも押えることになります。
発想力や表現力に加え、ヨゴレも気にせず制作を実践できる美大生。現場仕事もIT(イラストレータ)対応までやります。(男女ともけっこうな力持ちもいる)
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